【過去回】僕だけのひまわり デービット視点
僕は、常に2番だった
僕には兄上がいる。とても博識で、剣術も得意で、いつも誰かに囲まれていて。父上も母上も、いつか兄上のようになりなさいといつも僕に言っていた。
兄上には婚約者がいた。彼女はいつも兄上の側にいた。よく僕に手作りのお菓子をくれる、優しい人だった。彼女は僕にこう言った。
『いつか、デービット様だけを見てくれる、素敵な婚約者が現れますわ』
僕だけを見てくれる。
その言葉が、ずっと胸に残っていた。
それから一年ほど経った頃、父上が僕の『婚約者』を連れてきた。顔を赤らめ俯く彼女は、どうやら僕のことが好きらしい。
僕は彼女をわずかに見上げる。
優しく細められた、薔薇のような赤い瞳。その瞳は、真っ直ぐ僕だけに向けられていて。
「わ、私……リリア・キャンベルと申します」
どこか落ち着いたその声。1つしか違わないはずの彼女は、とても大人びて見えた。
「僕はデービット。よろしく、リリア」
僕が名前を呼ぶと桜色の頬を綻ばせ、彼女はにっこりと微笑んだ。
わかりやすくて可愛らしい人だと、そう思った。
「でっ、デービット様は、どんなご趣味をお持ちなの? 好きな食べ物は? お、お出かけするなら、どこがお好きですの?」
次から次へと出てくる質問に僕は思わず言葉を失う。こんなに色々聞かれたのは初めてで、何から答えればいいのかわからなかった。
「あっ……ご、ごめんなさい……。私、デービット様の事が、たくさん知りたくて……」
僕のことが、知りたい?
言われたことがないその言葉に、胸がぎゅーっと苦しくなった。
「……リリアは、僕の婚約者なんだろう? それなら、ずっと一緒にいるんだ。ゆっくり知っていけばいい」
「……! そうですね、ずっと、一緒ですものね」
ひまわりのような美しい笑顔。その笑顔から、僕は目が話せなかった。
ずっと一緒、その言葉が頭の中でぐるぐると巡る。
僕はこの日、僕だけの婚約者と出会った。
彼女と過ごす幸せな未来を胸に抱いて。
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✨ブクマとリアクションの合計数で番外編公開!✨
合計20→断罪執行前日 リリアとデービット
「僕はただ……お前に、愛して欲しかったんだ……」
彼の言葉は、リリアを繋ぎ止められるのかーーー




