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幼馴染は勝ちヒロイン  作者: 隆頭


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三十七話 嘘つきのその後

 最悪だ…私の愛する伴田ともだ君が、あの天美あまみ 好透こうすけまとわり付かれていたので、ヤツから伴田君を解放しようと思ったのに…。


天美は最近、幼馴染である長名おさなさんだけでなく笹山ささやまさんにも付き纏っており、彼女らも迷惑しているだろうと思い、奴を階段から突き落とした。


先日に天美に対し、長名さんに手を出すといった鈴木君たち三人に計画を伝えたら喜んで手を貸してくれると言った。


生徒指導の教員である葛本を、まるで彼が私に手を出そうとしているように見せかけた写真を三人に撮らせ、それをネタに葛本を強請ゆすった。


天美を階段から突き落としたあと、葛本にヤツを停学処分するようにさせ、私は皆に''天美に襲われた''とでっちあげ皆を騙した。


結果は上々で、一部の人らは天美を信じたものの、私はわざと衣服を乱れさせ物事に信憑性を持たせたことで私の味方を作ることに成功した。

そして天美は停学処分を受けて家に帰った。


次の日もヤツは学校に来ず、私は思わず笑いそうになった。


しかし家に帰ると葛本から連絡が行ったようで、父さんからそのことについて聞かれた。

でも父さんは何とかなったけど、母さんの目は騙すことが出来ずあっさりと私が嘘を吐いた事が看破された。


結局私はあの憎き天美 好透に頭を下げることになり、ヤツの停学処分は無くなり、逆に私が1ヶ月の停学処分になった。



あれから数日経って、私は家で勉強している。

いくら学校に行けないと言ってもその分は自分で勉強しなければならないからだ。


しかし一日中家にいると息も詰まってしまうので、私は外に出て気分転換に散歩をする事にした。



もう学校も終わり、皆が帰る時間なのだろう。

制服姿の人たちをちらほらと見かける。

しばらく歩いていると、いつか私が手を伸ばした覚えのある背中を見つけた。


彼と顔を合わせたくなくて、思わず振り返り元来た道を引き返そうと思った。

しかし後ろに人がいたようで、その人にぶつかってしまう。


「いってぇ!」


「きゃっ!ごめんなさい!」


私は咄嗟に頭を下げた。


「ごめんじゃねぇんだよ!怪我したらどうしてくれんだ!」


「えっと、それは…」


彼は激昂しており、私は言葉に詰まってしまう。


「まぁいいや、とりあえずお前こっち来いよ」


彼は怯えて動けない私の手首を掴んで、何処かに連れていこうとしてくる。


「いやっ、離して…」


「うっせぇ!お前のせいで危ない目に遭ったんだ、黙ってついてこいや!」


強い力で引っ張られ、抵抗も虚しくどこかへ連れていかれそうになる。

私だってもう高校生、こういうタイプの人が何もしようとしているかが分からない訳では無い。


「誰か…助けて…」


小さく呟くが、そんな声では誰も助けてくれるわけが無い。

近くにいる人は皆、見て見ぬフリをして目を逸らしては通り過ぎて行く。


「おい、その手を離せ」


諦める事しか出来なかった私の後ろから、誰かが声をかけてきた。


「あぁ?ンだよ、俺はコイツにぶつかられたわけ、わかるか?」


「だったら何だ、無理やり何するつもりかは知らんが、謝ってんだからやめてやれよ」


 苛立った男に天美は堂々と向かい合う。


「チッ…うぜぇなぁコノヤロゥッ!」


 男は言い切ると同時に天美を殴った


「へっ、とっとと消えやがれ」


 男は殴ったことでいい気になったのかヘラヘラとしている。


「いてぇなぁ…お前これどうやって責任取るんだ?俺は今お前に殴られて怪我したんだけど、どうしてくれんの?」


 しかし彼はそれをものともせず毅然とそれに立ち向かった。


「あ…なっなんだよ…」


 天美が一歩踏み込むと、男は怯んだように後ずさる。


「なぁ、なんかあんだろ?金とかさぁ」


「ぅ…るせぇよ、オラッ!」


 男は彼に詰め寄られ、苦し紛れに彼を殴った。

 しかし天美は拳を受け止め、思いっきり握りしめた。

すると男は苦悶の表情を浮かべて膝を折った。


「今回は見逃してやる、とっとと失せろ」


「ひっ…クソォ!」


 彼が手を離すと男はそのまま逃げていってしまった。


「はぁ…大丈夫かよ」


「え…」


 怯えて動けなくなった私を、彼は慮って声を掛けてくれた。

 彼は私の手を見て心配したような表情になる。


「おいおい、手首真っ赤じゃねぇか。ったく、よっぽど強く握られたんだな、よく冷やした方がいいぞ」


「え…と…」


 あんなことをした私に、彼は優しい声を掛けてくれる。

そんな彼に、私は申し訳なくなってなにも言えない。



「…そんなにビビるんじゃねぇよ、別に取って食ったりしねぇって。まぁこないだのあれはムカついたけどよ、もうケリは付いたんだ、気にするなとは言わねぇけど、そんな怯えんなよ」


「ち…がう…そんな…」


 こんなにも優しい天美君に、私はなんて事をしてしまったのか…。

私の胸中に渦巻く気持ちが重すぎて、私は思わずへたりこんでしまう。


「おい、大丈夫か!?」


 彼はそんな私に駆け寄って、そっと背中を撫でてくれる。

その温もりから底知れない優しさが伝わってくる。


「やっぱ怖いかったか?まぁあんなふうにされたらな…」


 その声色はとても柔らかく、私の事を気遣ってくれることが窺える。

私はいたたまれなくなりその場所から逃げ出した。


「ごめんなさい…ごめんなさい…天美君…」


思いのままに走る。


「ならない…好きになんか、ならないぃ…!」


とめどなく溢れる涙を拭いながら、ただ逃げるように走った。


新しく生まれたその想いを振り払うように…。

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