三十五話 想定外の決着
今日は土曜日なのだが、学校から俺を含めて来て欲しいとの連絡があった。
今回は弁護士も連れて行こうということになり、四人で学校に向かった。
「この度は、ウチの娘が大変申し訳ございませんでした!」
そこでそう叫び土下座をしたのは、端田の父親を名乗る男性だった。
その横では端田 本人とその母親も土下座している。
俺たちは全員目が点になった。なにこれ?
端田本人は目元が赤くなっており、泣き腫らしたであろう事が窺える。
「本人から聞きました、私怨によってそちらの息子さんを階段から突き落としたと……これは私たちの教育不足によるものです、本当に申し訳ありません!」
ここに来ていた葛本も目をかっ開き、あんぐりと口を開けいていた。
それほどではないにしろ、校長も教頭も担任も似たような様子だ。
さすがにこうなればこちらの思うままだ、当初の予定通り学校に対し不当処分で訴え、端田家には傷害で訴えた。
もちろん端田家に対してはトントン拍子に話が進み、相当額の慰謝料が貰える事になった。
かなり真面目なご両親でこっちが恐縮してしまう。
学校に対しても、ロクな調査をせず無実の罪で停学処分をしたとして、葛本の懲戒処分と慰謝料を求めた。
学校側もさすがにゴネようが無かったのか、俺たちの要求を黙って受け入れた。
かくして、気合いを入れて端田と学校に対し訴えを起こそうとしたものの、向こう側から白旗で決着が付くというなんとも肩透かしを受けたような結果となった。
まぁ良かったんだけどね。
ちなみに端田は一ヶ月の停学処分だってさ。転校しないんだ、ってか退学じゃないの?甘いね。
その旨をあの五人に伝えるとめちゃくちゃ喜んでいた。
それに味方になってくれたクラスメイト達にも連絡してくれたそうで、皆胸を撫で下ろしていたらしい。
なんていいヤツらだ。
「いやぁ、無事に終わって良かったね、好透♪」
事が終わりウチに来てくれた栞と衣織ちゃんが抱き着いてきた。かわいい。
「無事に終わって良かったけど、お兄ちゃん今週は本当に傷だらけだね…よしよし」
衣織ちゃんが心配そうに撫でてくれる。なでなできもちー。
「まぁ、なんとかなって良かったよ。端田ンとこの両親も全面的に悪いって言ってるみたいだし、いいんじゃないか?」
「そうかもだけど、やっぱりお兄ちゃんが怪我したの、悲しい…」
そういって抱き着いてくる衣織ちゃん、天使かな?天使か、当たり前だ。
「怪我については薬も貰ってるし、ゆっくり治すしかないよ。命があるんだから儲けもんさ」
そう言って納得してもらった。
渋々といった様子だけどね。
母さんが栞たちに話しかける。
「ねぇ栞ちゃん衣織ちゃん、今日は優ちゃんたちとご飯食べに行こうと思うんだけど…どうかな?」
「「いいですね!」」
「ふふっ、じゃあそう伝えておくね」
そう言って母さんが電話をしに行った。
二人とも嬉しそうだ、揃ってとてもいい返事。
「えへへ、楽しみだね好透♪」
「そうだな、なんだかんだ優さんたちとご飯一緒に食べてないし嬉しいよ」
ウチの両親が海外に赴任することになってから、優さんがもし困ったらウチにおいでと言ってくれたんだけど…。
ご飯も食べに来てくれて構わないと言っていたが自炊が楽しくて中々そのタイミングが無かったし、丁度いいだろう。
その夜、俺たちは長名家両親も交えて外食をした。
久しぶりの交流に皆ニッコリだ。
もちろん俺もね、楽しかったです。




