三十四話 濡れ衣対策デッキ構築
あれから母さんが、例の弁護士に連絡をしてくれたので次の日に会うことになった。
そして一晩明けて。
「はじめまして、私は弁護士の高畠 尋海といいます」
彼女がそう言って名刺を渡してきた、おっこの苗字……もしかして……
「あの、すいません。俺のクラスメイトに高畠 夜大って奴がいるんですけど…」
「あら、私の息子です。クラスメイトなんですね」
なんと驚いたことに高畠のお母さんのようだ。
彼に似てすごく爽やかな美人だ。 これがデキる女性か…別に母さんがデキないってわけじゃないよ。
今の状況を弁護士に話す。
「話は分かりました、それは辛かったですね…」
「いえ…息子さんもですが、味方してくれる人がいるので助かってます。本当に感謝しています」
「それは良かったです」
信じてくれるヤツらがいるのだ、悲観してはいられない。
「怪我の診断書はありますか?」
「まぁ一応、今も手元にありますよ」
そう言って彼女に診断書を見せる。
「ふむふむ…それでしたら、相手を傷害罪で訴える事も可能ですね。頭部を強打しているということなので、決して軽い怪我という訳では無さそうですし、無実が証明できれば明確な悪意があってやったとも言えます」
無実が証明できれば…か。
「今回の学校側の対応は決して良いものとは言えません、確たる証拠も無いまま停学処分なんて出来るはずがありませんから」
つまり、何か焦っているということか?
しかし一介の教師に学校そのものを動かす権力なんてあるのだろうか?
「とにかく、まずは情報を集めましょう、あまり良い事とは言えませんが私の息子にも話を聞いてみます」
証言してくれる人は多い方が良いだろう。
今日は今知る限りの情報を共有することにした。
ここから反撃のカードを揃えていく。
「今僕たちに出来るのはここまでだね」
「明日は学校に行くわね」
珍しく好戦的だなぁ…父さん母さん共にここまでキレるのって珍しいな。
そうして次の日、学校に乗り込んだ。
両親が学校に行っている間、俺は家で留守番だ。
そして数時間すると二人とも戻ってきた。
どうやら学校側も大分チグハグらしい。
応対は例の生徒指導の葛本がやったそうなのだが、彼の主張は端田が性的暴行を受けそうになったため、彼女が身を守るために俺を突き飛ばし怪我を負った。
つまり正当防衛であり、学校側は被害者を守るために停学処分をしたとの主張。
しかし彼には下がってもらい校長と教頭が出てきた時には、性的暴行を受けそうになったと本人は言っているが証拠が無く否定も肯定もできない状況、とのこと。
停学については葛本が独断で行ったそうな。それでいいのか学校よ。
学校側が判断する前に葛本が独断で事実上の停学処分をしてしまったため後に引けなくなったんだって。マジでそれでいいの?
どう考えてもそんなことが罷り通るとは思えないんだけど。
ちなみに担任も出てきたらしいけど、その人もどちらとも言い難いとのこと。
マジで疑わしきは罰せよだんて後々ヤバいことになるって分からないの?
そして葛本のヤロウは、相手方の両親が激怒していて直接謝罪を求めていると言っていたようなのだが、ウチの両親はそれを受け入れない姿勢だ。
俺たちは学校側に、不当な処分として名誉毀損で訴えるつもりだ。
端田家にも傷害罪で訴える、徹底抗戦だ。
しかしこの戦いは、意外な形で終えることになる。




