三十三話 両親一時帰国
一晩明けたが、やることもないので取り敢えずトレーニングでもしようと思い、腕立てやらスクワットやらジョギングやらをして時間を潰した。
あと病院にも行ってきて診断書貰ってきました。まぁまぁ高かったわ
朝は栞が来てくれたので起きた。
彼女は何とか俺の無実を証明する為に 皆を説得する!と息巻いていた。
無理しないでと栞の頭を撫でると、彼女は涙を流して抱き締めてくれた。
この状況が許せないようだ…だろうね。
俺が逆の立場なら絶対許さない。
昼になると栞から電話があった。
『もしもし、好透 大丈夫?』
「あぁ、家にいるだけだから別に何ともないよ」
全く心配性だねぇ。
『やっぱりクラスの半分くらいしか味方になってくれないっぽい、端田さんも割と人徳あるから…』
信じてくれる人のそれを悪用するのも中々に腹が立つな。
「仕方ないだろ、どっちにしても現場を見た訳じゃないからな。先生の方は?」
『うーん、田中先生はどちらとも言えないってさ』
「そうか…」
田中先生とは担任の事だ。
端田もだが、俺もなんだかんだ真面目にやってきたから、それを知ってる分何とも言えないのだろう。
『好透があんなことするわけないのは私たちならよく知ってるけど、問題は…』
「他の連中だな」
特に俺に敵意を抱いてる連中だ。
ABCを始めとして、こないだの茶髪とマッシュもだろう。
まぁ後者二人は今も停学中だけど。
「取り敢えず父さんと母さんが帰ってきてくれるみたいだから、それまで待つしかないてしょ」
『え、魅咲さんも遙途さんも帰ってきてくれるんだ!』
栞は嬉しそうだ、ふたりとも俺たちを応援してくれてるし栞とも衣織ちゃんとも仲良がいからね。
『それなら何とかなるかな?』
「かもな、取り敢えず大人に任せるしかないだろ」
ここまでくると、証拠不十分なので名誉毀損で訴える事も出来るかも…と言った所だ。
今のところ、味方をしてくれる連中には俺の言い分をメモして貰ってるらしい。
何か聞かれても同じように答えられるようにだね。
皆が同じ言い分ならそれを軽んじることは出来ないはずだが、そう簡単にいくかは分からない。
そもそも皆に聞き込みをするのかさえ……
だが何もしないよりはマシだ。
夕方になると栞たちがやってきた。
優親と小春に加え、なんと話を聞いた衣織ちゃんと舞幸ちゃんまで来てくれたのだ、なんという大所帯。嬉しいね。
「お兄ちゃん…酷い怪我…」
「好透お兄さん…」
衣織ちゃんと舞幸ちゃんは俺の怪我を見て涙を流して抱き着いてきた。
そっと二人の背中に手を回し、さする。
俺の怪我を自分事のように悲しんでくれる優しい子たちだ。
そんなこんなで話をしていると、突如家の扉が開いた。まさか…。
「ただいま好透!私が来た!」
母さんが扉を開けて何処ぞのヒーローのようなことを言った。
「あ、魅咲さん、お邪魔してます!」
「あぁ!栞ちゃん、お久しぶり!」
「やぁ、ただいま好透、しかし随分とまぁ…」
二人が皆を見て黙る。
「……随分とまぁ乱れてるのね、こんなにかわい子ちゃん達を連れ込んで…好透ったら女タラシ」
「ちげぇわ、俺は栞と衣織ちゃん一筋…いや二筋だ!」
一人では無いので一筋ではない。
って言うかこの中の一人は男なんですけど。
「こんにちは!ウチ、笹山小春って言います!好透君の彼女です!」
「はじめましてこんにちは!僕は伴田優親って言います!息子さんとはお付き合いさせてもらってます!」
「えっえと…はじめまして!私は伴田舞幸って言います!好透お兄さんには命を助けていただいて、おにっ、お姉ちゃん共々それからお付き合いしています!」
「ちょっと待てやお前ら」
コイツら凄い速度で俺と付き合ってる宣言しやがった、嘘を吐くな馬鹿ども。
ってか真幸ちゃんなんて?お姉ちゃん?
「あら…好透ったらもう、こんなにモテモテでお母さん鼻が高いわ」
「ちょっと乱れすぎだと思うけどね、不純異性交友にしてはやり過ぎだよ」
「二人とも勘弁してよ…」
悪ふざけが過ぎる、このままじゃ本題がこっちになっちゃうよ。
っていうか二人とも優親とは面識あるだろ、完全におふざけモードだ。
「もう、皆ふざけ過ぎだよ!好透の彼女は私と衣織なんだからね! 」
「そーだよ、もう舞幸ちゃんまで!」
「ごめんなさい、だって好透お兄さんが素敵だから…」
「そうだよ、僕もゾッコンなんだ!」
「全くこの姉妹は…それはウチもだけど…」
「おい間違えんな姉妹じゃねぇぞ兄と妹で兄妹だ」
小春がマジでイカれた事を言い出した。
それでは優親がいつの間にか性別を変えていることになる、いや確かに可愛いけどさ。
「ちょっと僕、性転換を考えるよ」
「落ち着け優親、正気戻ってくれ頼むから」
いい加減おふざけが過ぎるので本題に戻ろう。
栞が二人に今の状況を説明した。
「そうか…一応クラスには何人か味方はいるんだね」
「そういえば電話をしてきた教員の名前は?」
「確か葛本って言ってたね」
生徒指導の教員の名前だ、つまりはヤツの独断であるかもしれない可能性もある訳だが…。
「それなら僕らが学校に乗り込もうか?」
「そうね、ちゃんと調査もしてないのに疑わしいから停学処分だなんて不当だわ」
「でも、学校側の総意じゃないって保証もないけど…」
もし総意だと言うのなら学校側とのバトルとなる。それだとかなり面倒な事になるぞ。
「なぁに、別に無策って訳じゃない。さすがに弁護士くらいは立てるさ」
「幸い、知り合いに優秀な弁護士がいるの。その人を頼って見ようかしら」
父さんと母さんはかなり交友関係が広いから、信用できると思う。
こうして俺たちは優秀な弁護士を雇うことになった。




