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幼馴染は勝ちヒロイン  作者: 隆頭


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十七話2/2 彼に向けた想い

 二人と別れて家に入り、自室のベッドに身を投げる。


 彼の優しい温もりが、未だ頭から離れない。


 思えばいつの間にか彼が好きだった。

 親友の幼馴染で、その子の恋人である彼。




 天美あまみ 好透こうすけ君のことが好きになったのは、中学生の頃。


 ウチの母親は海外の人で、日本人である父の血が混ざった、所謂ハーフと言われる子供が私だ。


 金髪で水色の目をしているウチは、小学生の時に男子にからかわれた事がある。

 それに傷付いて、隠れて泣いていたウチを見つけてってくれて、彼らに怒ってくれたのが天美君だ。


 その時は凄く優しくて格好良いくらいしか思ってなくて、そんな幼馴染がいるしおりが羨ましい。そんなことを考えていた。


 しかし中学三年の時に、ウチが年上の男性からお金を貰って、''そういうこと''をしていると噂している男子達がいた。そんなことしていないのに…。


 またこの見た目で嫌なことや決めつけでものを言われる。それが凄く辛かった。


 ウチは両親が大好きだ、だからこの派手な髪も、周りと違う目の色も嫌じゃない。むしろ大好きなお母さんの特徴とも言えるところを受け継いで嬉しかったくらいだ。


 それなのに心無い言葉を、直接ではないとはいえ聞いてしまい、ウチはまた傷付いた。



 ある日、天美君がその噂を他の男子から話されて、どう思うのかと聞かれていたのを見てしまった。


 しかし彼は、噂話を楽しんでいる人達とは違った。


「それって実際に見たってわけじゃないんだろ?それなのに勝手にそういうこと言うのって、言われた側は嫌じゃないか?」


 どうせ見た目で決めつけたんだろ?下らないと、彼はそう吐き捨てた。



 天美君の言葉に嬉しくなって涙が出た。

 別にウチを褒めてくれたわけじゃない、でも下手に褒められるより、心無い噂を広める人達に怒ってくれたことが本当に嬉しかった。


 天美君は、聞き耳を立てて涙を流しているウチに気が付いた、というかいつの間にかそばにいた。

 どうやら直ぐに彼らのところから離れたらしく、ウチはその事に気付いていなかった。

 今いる所は通り道だったから、彼がこちらに来るのも当然だよね。


「あっ、天美くん、ごめんね?その…気にしなくていいから!」


「…笹山ささやまさん、下らない噂なんて気にしないで。何かあったら俺が文句言ってきてやるから」


「……うん。ありがとね、天美君」


 涙を見られたくなくて天美君から顔を背けていると、そっと背中を撫でてくれた。

 その手から伝わる温もりを感じると、凄く落ち着いた。


「っ…ごめん、つい」


 全然気にすることなんてないのに、彼はウチのことを考えて手を離してしまった。

 きっと気安いかとでも考えたのだろう、でもウチはもう一度彼の温もりを感じたくて、そっと彼の手を両手で握った。


「ううん、ホントありがとね。元気出た」


「そう?それは良かった」


 天美君の目を見てお礼を言うと、彼は少し照れたように目を逸らした。

 よく分からないところで照れる彼が面白くて、思わず笑ってしまう。

 笑ったウチを見て彼は、ホッと息を吐いた。



 多分、天美君が好きになったのはその時。

 あれから彼のことを気にしてばかりだ。


 でも、天美君と栞は両思いだ。そして栞の妹、衣織いおりちゃんも彼が好き。

 彼はきっと栞を選ぶだろう。そうでなくもも衣織ちゃんがいる。

 あの姉妹は本当にかわいくて、魅力的だ。

 ウチにはきっと立ち入る隙なんてない。

 だから、せめて天美君の友達にはなりたいな…なんて考えていた。



 しかしこれと言って接点がある訳でもなくて、あまり天美君と関わらないウチは、彼と友達にすらなれない距離のままだった。高校生になっても。


 夜に彼のことを想いながら、うずく身体をなぐさめる日々が続く。 想いは強まるばかり。


 それなのに、あんな状況で颯爽さっそうと助けられたら、抑えられるわけがない。あの時の背中は凄くかっこよかった。

 人の…それも親友の彼氏の唇を不意打ちで奪うなんて、最低でいやしい女。思わず自己じこ嫌悪けんおおちいる。

 それも、あの状況を利用して文句を言われないようにだなんて考えて、本当に酷いことをした。


 それでも、彼はウチを撫でてくれたし、栞だって気を遣ってくれたのかあまり私を責めないでくれた。

 本当はハグしてほしかったけど、さすがに栞がだめだって。当然だよね。


 ウチの我儘を許してくれた親友にも、天美君にも感謝しているし、何より彼には抱いている気持ちを抑えきれない。

 その恋心は、次第に身体の疼きになってウチをおかしくさせる。


 敏感な所に自然に手が伸びて、彼の名前を何度も何度も呼びながら、こっそり撮った彼の写真を見る。


「はぁ…好透くん、好き…好きだよぉ……好透くん…」


 盗撮なんていけないことなのに、親友の彼氏にこんな気持ちになっちゃダメなのに…そんな背徳はいとくかんがスパイスになって、そして彼の優しさを思い出して、ウチの手の動きが激しくなっていき、身体が跳ねる。



 彼への想いは、おさまってくれないね。


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