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04 告白


「おい何だ今の音!?」


「あっちの方からだ!急げ!!」


突然として城内に爆音が響き渡り、警備の兵士たちは大慌てでそちらに向かった。


「一体何が…」


爆発がもあったかのように視界が悪く、中で何があったのか、また誰がいるのかが認識できない。


これをチャンスと見たこの事件の犯人は、自身に身体強化の魔法を強めにかけて爆速で兵士の間を駆け抜けた。


「っ!?」

「今、何か通ったよな…?」


普通の人間では認識できないほどのスピードで駆け抜けたが、どうやら風で気づかれてしまったらしい。


だが気づいた頃にはもう遅く、犯人はとっくに王城の外に出ていた。



何とか城から脱出したノアはフェリスを抱えたままヴィクトリア公爵家の屋敷に向かった。


「!?フェリス…っ!?」

「ノアくん…どうして…」


屋敷の扉をノックすると、フェリスの両親が慌てながら出てきた。


そんな二人に対して、ノアは至って冷静に口を開いた。


「落ち着いてください。ゆっくり説明するので、とりあえず中に入っても?」

「あ、ああ…そうだね。とりあえずお茶でも淹れようか」


ノアはフェリスを降ろし、手をギュッと握って屋敷の中に入って行った。


メイドがお茶を淹れ、各々の席に到着したところでヴィクトリア家の当主、フェイズ・ヴィクトリアが話を始めた。


「まずはありがとう。フェリスを救ってくれて、本当に感謝しているよ」


フェイズに続き、妻のアイリスと娘のフェリスが頭を下げてきた。


「いえ、婚約者を助けるのは当たり前のことです。ですが、一つだけ気になることが」


ノアはずっと気になっていたことを口にした。


「ゼスト殿下とのお見合いは合意の上だと聞いたのですが…事実でしょうか?」


そう言うとこの場にいる全員が顔色を悪くした。


(事実、か…)


その反応だけで事実だと判断するのには十分だった。


だが肝心の理由がよくわからない。


もし仮に脅されたのだとしたら、一体どのような脅し文句なのだろうか。


そのような疑問が頭の中を巡っていると、隣にいたフェリスが慌てて深々と頭を下げてきた。


「ご、ごめんさないっ!あなたに黙ってこんなこと…浮気だって思われても仕方ないわよね…」


多分フェリスは心臓をバクバク跳ねさせながら頭を下げているのだろう。


それがわかるぐらいに彼女の顔色が悪いのがわかった。


流石に好きな人にそんな顔されて黙ってはいられず、ノアはフェリスに近づいてそのまま抱きしめた。


「大丈夫。何が理由があったんだろ?心配しなくても俺は浮気だなんて思ってない。だから、ゆっくり話してくれないか?」

「…うん、わかったわ」


フェリスは顔を上げ、こちらの目を見ながらことの経緯を説明し始めた。


「三日日、ゼスト殿下が突然うちに来て、お見合いを申し込まれたの。最初はちゃんと断ったけど…殿下は…」


そこでフェリスは言葉に詰まった。


きっと相当なことを言われたのだろう。


それを察したノアはフェリスの頭を撫で、彼女の心を落ち着かせた。


「このお見合いを受けないと、ノアを殺すって言われて…」


フェリスは泣きそうになりながら全てを話してくれた。


まずはそこに敬意を表し、礼を言ってからフェリスをもう一度抱きしめた。


「ありがとう。俺のためにあんな嫌なことしてくれたんだよな。嬉しいけど、今度からはちゃんと相談してくれよ?」

「うんっ…」


フェリスはノアに思い切り抱きつき、それをノアが抱き返す。


「ノア…好き…。大好き…」

「ああ、俺も大好きだよ、フェリス」


親が目の前にいるというのにイチャイチャしてしまうバカップルであるが、今回ばかりは仕方ないだろう。


フェリスは涙を流しながら抱きついてからなかなか離してくれなかった。


それから数分後、話の流れでお泊まりすることが決まり、ノアはフェリスの部屋に向かった。


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