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02 殺意を殺して


数日後、ノアはいつものようにブライトネスのメンバーとダンジョンに潜っていた。


今回のダンジョンはA級に分類される非常に難易度の高いダンジョンだ。


だがブライトネスはS級で、その中でもかなりの強さを誇っている。


現にフラクシア王国内では最強と名高い。


なので今回のダンジョンは高難易度でありながらかなりのスピードで進行していた。


そして気づけばダンジョンボスの部屋まで到着し、ノアは一気にボスの前まで突っ込んだ。


「ふっ!!」


ノアは国内で最高の鍛治師に打ってもらった剣を思い切り振り下ろした。


だがしかし鋼鉄のような硬さの鱗の前では剣は無力で。


「ちっ!やっぱ使えねぇな!!邪魔だ!下がってろ雑魚剣士!!」


ブライトネスのリーダーであるゼストが命令を下し、ノアは黙って指示を聞いた。


「ふんっ、やっぱ剣士なんていらねぇだろ」

「そうですね。ハッキリ言って邪魔です」

「……」


そうやって文句を言ってくるのは魔法士のガラン・エルスミスとピリカ・マードラスだ。


二人の言っていることは一概に否定できず、ノアは黙ったまま二人の攻撃する姿を見つめた。


それから三十秒も経てばバスは倒れ、ノアは素材回収の為に走ってボスのもとへ向かった。


その時にも、パーティメンバーからは罵声を浴びせられて。


「あ〜あ、なんでこのパーティに剣士なんかがいるんだよ」

「仕方ないだろガラン。こうやってボスの素材回収をするのには剣士が必要なんだからw」


そう、この世界においてただの剣士は弱者の職業だ。


フラクシア王国ではその風潮がかなり強く、魔法がほぼ使えないノアはこのように毎日侮辱され続けている。


(俺も、もう少し魔法が使えたらな…)


せめて剣に魔法を乗せることぐらいできれば。


そうすれば魔剣士となることができ、少なくとも今のような扱いは受けていないだろう。


ちなみに言うと、リーダーのゼストは魔剣士である。


ゼストは国内でも五本の指に入るほどの魔剣士で、国民からも強く支持されている。


なにぶん英雄には魔剣士が多いらしく、そうなりたいと魔法学院に入学する生徒も多い。


まあ、ノアもその一人なのだが。


「おい!さっさと終わらせろ!今日は新しい妻と会う予定があるのだ!!!」

「はい、わかりました」


ノアはさっさと素材の回収を終わらせ、急ぎ足のゼストに着いて行く形でダンジョンを去った。


その後は一人でギルドに報告、素材の換金をしに行ってから家に帰った。


「ただいま」

「やっと帰ってきたか!?」

「ん、どうしたんだ?そんなに慌てて」


扉の近くで慌ててウロウロしていた父のレノスがこちらにやってきて強く肩を叩いてきた。


「お前、何も聞いてないのか!?」

「何って…なに?」


何もわからずそう訊き返すと、レノスは声を荒げながら説明を始めた。


「フェリスちゃんが今日ゼスト殿下と急遽お見合いすることになったって!!聞いてないのか!?」

「は????」


フェリスが、ゼストとお見合い…?


(フェリスからは何も相談されなかったし…何かあるなこれは…)


ゼストの性格上、脅して無理やりお見合いをさせている可能性もある。


もしそうなのであれば人道に反しているので普通に許せないのだが、それよりも許せないことがあった。


(あの野郎、俺のフェリスに手を出す気か…???)


ゼストからすればお見合いなど建前で、恐らく彼女を強制的に自分のものにするつもりなのだろう。


だがそんなこと当然許せるわけがなかった。


「ちょっと行ってくる」

「そうか、行ってこい。あ、あと一個だけ約束してくれ」

「なんだ?」


レノスは真剣な表情でこちらを見つめつつ、重い口調で話し始めた。


「殺すなよ、絶対に」


なんの冗談でもなく、レノスは本気でそのように指示を出してきた。


「そう…だな」


その言葉でノアは自分の怒りの感情を抑えることができ、そして何とか冷静さを保って返事をした。


「ああ、わかった」


そう言ってノアは振り返った。


「行ってくるよ」

「ああ、夜には帰ってこいよ」


ノアは背中で手を振った後、身体強化の魔法を自身にかけて全速力でフェリスのもとに向かった。


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