第3章 響きわたる炎にのせて 3-27
今度はオリアナが動いた
里帆の周りに円形状に荊の壁を作る
こうすれば相手からこちらを見ることは出来ないが、こちらには未来視で位置もわかるし、自分が放った攻撃が当たるかどうかも分かる
「3」
オリアナはまた数字を呟くと荊の周りを回り未来視で里帆に剣が外れる瞬間が見えない位置まで移動する
里帆が居た斜め左後ろくらいに来た瞬間に里帆に何故か剣が当たる未来が見えた
どうやら、こちらが見えないので真後ろを警戒してるらしく首を右回りで後ろを気にしているので、丁度反対の左斜め後ろが死角になるみたいだった
「(なるべく傷付けないよう納刀したまま殴ろう)」
オリアナは荊の壁に自分が棘で傷付つくのも気にせずに突っ込む、そしてそのまま納刀したままの剣で突きを放つ、目標は一撃で昏倒させる為に顎を狙う
その攻撃は未来視の通り狙った箇所確実に捉えた
はずだった
当たったと思っていたのに、それは幽霊かのようにすり抜けた
実体に触れている感触がない、煙を叩いてるかの様な空虚感に驚愕していると、里帆がいつの間にか自分の懐に居た
「しまったっ!」
そう思った時には、体が遅くなっているのを感じた
鈍足な体に明らかに、異常な速さの里帆の拳が何発も叩き込まれる
きっちり10秒後、慣性が戻って来た体は真後ろへと吹き飛び荊の壁にぶつかり、次いでと言わんばかりに棘が刺さる
「貴女さっきから自分で出した荊で自傷してない?そうゆう趣味でもあるのかしら?」
「そんな性癖は持ち合わせていないよ、偶々だよ偶々
そんな事より今異常な速さじゃなかったかい?
それもスキルなのかい?」
「さぁどうでしょうね?頭の良い貴女ならその内分かるんじゃないかしら?」
「そう思うなら今すぐに教えて欲しいかな」
「嫌よ、精々少しでも悩みなさいな」
オリアナは、里帆が足に巻き付いている荊でこちらまで来れないのを良い事に、壁を背に倒れたままの状態で考察を開始した
「(ウサギとカメって予想はしていたから、速くなるスキルを想定はしていが、まさかここまで速いとは予想外だった
しかし、参ったねバフ系のスキルだと未来予知が発動しない、なぜなら私の未来予知は自分に降りかかる不幸を予見するモノだから
相手が強化されようと、こちらに直接の被害があるわけじゃないから見れない
見えるのは攻撃が入る瞬間
恐らくさっき当たるのが見えたのは残像で攻撃が外れる自分にとって不幸な出来事だから見えたのか
それに、あの速度ならその瞬間が見えても今のままでは対処出来ないか……)」
考え終えて目の前を見ると、里帆が仁王立ちで腕を組みこちらを凝視していた
「あら?考え事は終了したのかしら?」
「考え事をしている間、待っててくれたのかい?優しいね」
「そんな優しい私をこんな荊で拘束しているのは誰かしら?」
「優しい君を離したくないからさ 1」
舌戦を終えるとオリアナは、もう一度突っ込むと同時に騎士団の行進を発動させメイスを召喚した
さっきと同じく減速と加速のコンボが来ると思いきや里帆は必死になってこちらの攻撃を避けるだけだった
不審に感じてながらも何度か攻撃するがスキルを発動させる気配も無く、3回目の攻撃が横っ腹に入り、血を吐きながら横に吹き飛ぶが足の荊のせいで直ぐに地面に落ちる
追撃しようと一歩踏み出した瞬間にズシンと体が遅くなるの感じる
しまったと思った時には、目の前に里帆が居りメイスを奪われ殴られる、また何発も叩き込まれると思いきや、メイスが想像以上に重かったのか3発殴られただけでスキルの時間が終了してしまった
今回は、鎧を着ていた事もありそこまでのダメージは負わなくて済んだ




