第3章 響きわたる炎にのせて 3-26
男装の令嬢をバニーガールの美女が見つめる様子は、王子様を娼女が誘っているようにも見える
「さて、エスコートして下さる王子様?」
「喜んで」
里帆はいろいろ考えたが様子見の為に受け身の体制を取る事にした、なにせこちらには速度を落とすスキルがあるのだから
「2」
オリアナは、それだけ言うと里帆を目掛けて一直線に突っ込んで来た、それを止めようと里帆はスキルを発動させてスローにしようとすると、オリアナは里帆と自分の間に荊の壁を作り出した
荊の壁はオリアナを完全に覆い隠す直前で地面から伸びる速さが遅くなる
「頭を動かそうとすると思う様に動かないな
だが体の他の部位は普通に動かせる
となると君のそのスキルは見える範囲でしか物体を減速させる事は出来ないみたいだね」
「!?」
たった一度の攻防でスキルの弱点を見抜かれ里帆は動揺する
「何をそんなに驚いた顔しているんだい?
この三日間、私達は君達の持っている情報からテーマやスキルとその条件
考えられる事は全て考えたつもりさ
逆に君達は考えてなかったのかい?」
「……残念ながらね
いつも通りの連携で倒すくらいしか作戦は練ってないわ」
里帆は悔しそうな顔で内情を暴露する、どうせ隠した所ですぐバレるだろうから
「それは、悲しいね
こっちは、三日間起きてる間はずっと君達の事を思っていたのに」
「情熱的ね、まるで恋する乙女のようだわ」
「嬉しいかい?」
「悪い気はしないわ」
減速してから10秒後スキルが自動で解除されると荊が伸びていき完全にオリアナの姿が隠れた
「どうやら、減速は10秒が限界みたいだね」
「喋ってる間もキッチリと時間を測っていたなんてイヤらしいわね、そうやって徐々に私の全てを丸裸にするつもりなのね」
「妹の為ならば、例え私は変態と罵られようとも構わないよ」
「妹の為ね……」
「そうさ、妹の持病を治す為に私はこのゲームに参加している」
「どうして、そんな内情を話すの?」
「この話を聞いて同情して、装飾品を渡してくれれば御の字かなって」
「それはないわね
だって私も妹の為に参加しているのだからね」
壁で姿は見えないはずなのに2人は息を合わせたみたいに同時にふふっと笑う
「姉バトルと言った所かな?」
「勝った方が妹愛が強いって事でいいのかしら?」
「そうなるね」
2人は先程までの穏やかな空気とは一変し張り詰めた雰囲気が辺りに漂う
一髪触発の中先に動いたのは意外にも里帆だった、里帆は手で輪を作るとそれを口元に持って行きふーっと息を吐いた
すると、口元から火が放射され荊を焼くが生木の性か表面を少し焦がすだけで焼き尽くすには至らない
「これじゃあ、ダメみたいね」
「君も火を使うんだね」
「全員火を使えるわ、でもユーはその中でも特に強い火力よ
貴女のその荊すらも焼き尽くすと思うわ
戦う相手が私で良かったわね、じゃないと今頃火だるまよ?」
「私も君で良かったと思うよ
君相手なら私は勝てそうだからね」




