第3章 響きわたる炎にのせて 3-25
午後20時、二勝山麓
「なぁもう時間なんだがアイツらの姿が見えないんだが?」
「もしかしたら逃げたのかもね
でも、まぁ装飾品一個手に入れただけでも良しとしましょう」
3人が踵を返して立ち去ろうとすると
空気を裂く音が聞こえて来た
「ちっ、避けろ」
それにいち早く気付いたユーが2人へと指示を飛ばす
3人が横に飛ぶと、さっきまで居た所に弾丸が着弾する
「おいおいおいおい、奇襲とかアイツらサイテーだな」
弾丸が飛んできた方向を見ると木の上からガトリング銃を持ってメアが立っていた
ユー達が戦おうとスキルを発動させようとしたら、それに気付いたのかメアは森の奥へと逃げて行った
「あの野郎逃げやがった
里帆、愛芽梨追うぞ」
「待って、罠かもしれないわ」
里帆がユーを止めようとするがユーは既に走り出して声が聞こえていない様だった
「ああもう、愛芽梨ちゃん私達も追うわよ」
「はいです」
里帆がユーを追いかけようと足を一歩踏み出そうとした瞬間に足に何かが絡みついて転んでしまった、足を見ると荊が絡みついていた
「君の相手は私だよ」
足から声のした方に視線を上げると、そこにはオリアナが居た
「愛芽梨ちゃん
私の事はいいからユーの後を追って」
「は、はいです」
里帆は、オリアナに向き直り戦闘体勢を取る
「これ棘が刺さって痛いので離して貰えませんか?」
「それをすると君は、私の速度を落として彼女らを追いかけるだろう?
だからそれは無理な話だ」
「へぇー私、スキル2回しか使ってないはずなのにどういうスキルか分かったのね」
「そうだよ
だから連携されると困るから各個撃破の作戦を取る事にしたんだよ」
「各個撃破?まさかっ!」
その言葉に愛芽梨にも危険が迫っているのを察してしまい、どうにかここから早く離れようと思考を開始する
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一方その頃、愛芽梨は慣れない山道を登りながら必死に音のする方へ走っていた
既にユーの姿は見失っており、辛うじて追いかけている足音を頼りに追いかけていた
しかし、小さい愛芽梨の体は体力が尽きかけており息も上がっていた、どうにか呼吸を整えたいが今は少しの間でも立ち止まるとユーの足音さえ聞こなくなってしまうので休憩すら出来ない
そんな時横から衝撃が来て吹き飛び近くの木へ体がぶつかる、酸欠も相まって目の前が一瞬ホワイトアウトする
少しずつ戻って来ているチカチカする視界に自分より少しだけ背の高い少年の姿が見えて来た
そして、視界が完全に元に戻るとソイツは病院で敵対していた少年であると気付く
「やぁ、クソガキ
お前の相手は俺だよ」
「お前もガキのくせに」
「でも君より体が大きいだろ?」
「そんなの数センチ差しかないじゃん」
「でも大きいのは事実だろ?なら
俺よりチビなお前をガキ呼ばわりも当然だとおもうけど?
悔しかったら今すぐにでも伸ばす事だな
まぁ、そんな事出来るはずないもんな」
「私、お前嫌い」
「君と同じ意見って言うのは何だか気持ち悪いけど、俺も君の事
大ぃ嫌いだよ」
大嫌いと言う言葉だけを大きい声で発言し、強調する
今までの人生で煽られた事のない愛芽梨は、挑発に乗ってしまいその場で留まりジャックと戦う事を選択する
最早、ユーの足音が聞こえていない程遠ざかった事も気付けないでいた
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メアは二勝山のキャンプ跡地に来ると逃げるのを辞めて立ち止まる
「ちっ、途中で気付いたけどよ
やっぱ、この場所に誘導されてたって訳か」
「別に此処じゃなくても良かったんだけどね
目的は、君達を1人1人バラバラにする事だから」
「連携取れなきゃ、俺達は弱いとか思ってんのか?」
「実際そうでしょ、あの里帆って人だっけ
あの人が持ってるスローになるスキルあれが連携の起点みたいな感じだし、それさえなければアンタじゃ私に勝てないよ」
「ハッ!笑わせんなよ
オメーだって、あの金髪が居なきゃ
ナイフを投げる事しか出来ない曲芸師な癖によ」
お互いに罵り合い一髪触発の空気が流れる
こうしてそれぞれの戦いの幕が上がる




