第1章 潮風に混ざる鉄 1-3
「狩人の銃」
本を開いてそう呟く
すると、メアの手には猟師が使うような
ライフル銃が握られていた
そのまま人魚姫へと照準を合わせ撃った
ドーーン
と銃声が鳴り弾丸は吸い込まれる様に
人魚姫の腹を抉った
身体をくの字に曲げて苦悶の表情をし、苦し紛れに水弾を発射するが体制を崩したせいで狙いが定まらず
近くにあった電柱の上の方へと飛んでいった
メアは、続け様に3発弾丸を撃ち込み、2発が命中した
「ヨシっ!」
思わずガッツポーズを取る
今度は、右肩と右の胸の部分に当たったみたいだ
人魚姫は両膝と両手を地面に付けた
「思ったより呆気ないな」
この状態では、もはや戦闘続行は不可能なのでは?と思い
降伏勧告をした
「大人しく装飾を渡せば、これ以上の追撃はしないぞ
さあ、どうする?」
「この程度全然効きませんわっ!」
そう言うとこちらを睨め付けた
ものすごい目力で怯んでしまった
その怯んだ隙を敵は見逃さず
右足を前に出して、中腰の姿勢で両手で指鉄砲の形を作り水弾を撃ち出す
メアの左肩に着弾したが、タメが短いせいなのかさっきみたいにレーザーの様なものでは無く水の塊が飛んで来た
不意打ちだったため避けられずに当たってしまった
威力そこまで強くなく石をぶつけれた様な感じだったが体制を崩すには充分だった
そして、そのまま立ち上がると辺りに水溜まりが大量に出来る程に水弾を連射して来た
メアは、水弾を受けつつ近くの遮蔽物に身を隠す
ついでに、俺も遮蔽物へと身を隠す
その時に、人魚姫の方を見ると
お腹、右肩、胸に空いた筈の穴が塞がっていた
「どうして、傷がもう治ってるっ?!」
どうやら、メアも気付いたらしい
「おーほーほほほっほ
あの程度の傷すぐに治るに決まっているじゃありませんの
なんせ、私は不死身の人魚なんですのよ」
こちらを嘲笑うかのように答える
「なら、頭か心臓を撃って一撃で仕留めるだけ」
「やれるもんなら、やってみなさいな」
メアがライフルを構え、撃つが
人魚姫が足元の水溜まりに飛び込むと
姿が見えなくなった
弾丸は空を切った
「消えたっ!」
「何処に行ったっ?!」
「ここですわ」
メアの横の水溜まりから声がしたと思うと
そこから人魚姫が出現した
そして、水鉄砲がメアの脇腹を貫通し、そのままお腹を抑えて倒れる
追い討ちをかけるために人魚姫の指先がメアの頭に向けられる
俺は咄嗟に走り出して人魚姫に対して
ドロップキックをお見舞いした
咄嗟の出来事でガードや回避も出来ずにもろに食らった人魚姫は、指先がズレてめあのすぐ横の壁に水弾はハズレて
そんでもって、人魚姫の身体はそのまま吹き飛ばされた
その隙に俺はめあへと駆け寄る
「大丈夫かっ?!」
「な、なんとかね、、」
「まだ、戦えるか?」
「当たり前じゃん
この程度の傷で諦めてたら、この先生き残れる訳なさそうだしね」
「それにしても、あの一瞬で消えたのはどういう能力なんだろうか?」
そう言いつつ人魚姫が、転がった方へ目を向けるとその姿がまた消えていた
そして、今度は壁から声が聞こえた
「そんなの簡単ですの、水の中を移動する能力ですわ」
なんと答えてくれたのである
やはり、バカなんだろうか?
「また、そんなバカを見るような目を私にむけて
能力を教えたのは、教えた所で意味がないからですわ
ほら、周りをよく見なさいな」
そう言われたので見渡すと
周りは、水溜まりだらけで何処から出て来てもおかしくは無い状況だった
確かに現状、能力が分かっていたとしても対策のしようがない
「ふふふっ、
先程の貴方の言葉をお返ししますわ
今、装飾を渡せばこれ以上痛い思いはさせませんわ」