第3章 響きわたる炎にのせて 3-17
入院してから2週間が経ち
容体も落ち着いた事から愛芽梨は退院する運びになった為、俺達は愛芽梨がこれからどうしたいのかを聴かなければいけない
あれから、父親とも話し合い愛芽梨が一緒に暮らしたいと言った方に着いて行かせると誓約書を交わした、ただし色々と条件付きだがお互い納得した
そして、意を決して里帆が愛芽梨に尋ねる
「愛芽梨ちゃん、こないだ少し話したと思うんだけどお姉ちゃん達とお父さんとどっちと暮らしたい?」
「正直に言って構わないよ、お父さん愛芽梨に酷い事してしまった事は分かっているから」
そう言う愛芽梨の父親の顔は判決を待つ被告人のようだった
今更何を後悔してるんだ?
お前がして来た事は、俺の中では死刑に値する所業なんだぞと苛立ちを覚える
だが飽くまでも裁く権利があるのは愛芽梨だけ
そう思って愛芽梨が口を開くのを待つ
愛芽梨はボーっと虚空を眺めて考える様子だった、そうして待つ事2分程した所でようやく愛芽梨が喋り出す
「私は、お父さんと一緒に暮らしたいです。」
ある程度予想はしていたが、いざ聞くとやはり心にくるものがある
俺からしたら暴力を振るう父親は、嫌悪しかないが愛芽梨には、きっと俺達の知らない父親の面がありそこが好きなのだろう
だから、笑顔で送り出そう
それにこの男には、俺達から愛芽梨と暮らす為の条件を出した
その1、愛芽梨の夕飯は毎日うちの喫茶店で食べる事
その2、働く事
その3、飲酒をしない
この条件なら愛芽梨を守れるし、何かあれば気付く事が出来る
さらに、愛芽梨にはいつでも連絡が取れる様に携帯電話を渡した
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1ヶ月経ったがあの男は俺達との約束を破る事なく過ごしていた
愛芽梨も出会った頃のような陰鬱な雰囲気から、毎日笑顔を見せるようになった
俺は喜んだ
愛芽梨が笑えるようになった事もだし、ダメ親と思っていたヤツがちゃんと改心して、きちんとした親になった事にも
俺は親=悪という自分の中の呪いの様なしがらみに勝った気がしたからだ
だから俺は安心しきっていた
だがそれは結局、幻想に過ぎなかったのだ
夢はいつか覚めるモノだ




