第3章 響きわたる炎にのせて 3-15
その日の夜に俺と里帆は、店でおっさんの帰りを待ちながら、これからの事を話す
「なぁ、あの子をココで保護する事って出来んのかなぁ?」
「…………そうね、私もあの子をどうにかしたいと思っているけど、子供を引き取るってそう簡単な事じゃないのよ」
「…そうかぁ………」
あの子も俺達と同じで親に苦しめられてるからどうにかして助けてあげたい、そう思ってはいるが、年齢が幼いが故にそう簡単な事ではない
そこからは、里帆とも会話する事も無く虚空を眺めながらボーっとしているとドアが開きおっさんが入って来た
「ただいま、ごめんね2人とも遅くまで待たせて」
「おかえり、気にすんな」
「おかえりなさい、そんな事気にしないで下さい
それでどうだったの?」
「どうやら、あの男は重度のアル中で酔ってる間は気が大きくなっているらしが、酒が抜けた後は嘘みたいに大人しいヤツだった
自分がやっている事の重大さも八つ当たりって事も分かっているが、妻と仕事を無くしたショックから酒が手離せない、それで1日の殆どが酔ってる状態らしい
そして、今回は運悪く3日間、あの子が起きてる間は酔ってたらしくて、そのせいでずっとあの子は、ご飯に在り付けなかったみたいだ」
「でも、小学生なら学校で給食は出てるはずだろう?」
「それが、学校は私立でお昼は自前で用意する所みたいで、それも相まってあの状態になってたらしい」
「でも、今回倒れたおかげでこの事実が露見したのは不幸中の幸いね
これは、虐待だから上手くいけばあの子をあの父親から引き剥がせるかもしれないわ」
「………君達は、あの子を父親から引き離した方が幸せだと思うかい?」
普通なら、引き離した方がいいと思うのだが、おっさんは何故か迷っているような口調で問うて来た
「んなもんは、言うまでもないだろう
逆におっさんは何で迷ってるんだ?」
「あの子の意志を確認していないのと
素面だったアイツはすごくまともだったんだ
だから、一度チャンスを与えてもいいのかなって」
確かにあの子の意志を確認はしていないが、いくら普段は優しいからといって、暴力を振るってきた相手に対して離れたくないという感情を持つのだろうか?
考えてはみたものの全くもって見当も付かないので、いつもの如く難しい問題は思考放棄してしまう
なるようになるだろう多分
こうして、この一件はひとまず保留となった




