第3章 響きわたる炎にのせて 3-12
亀井里帆、それが私の名前
3兄妹の真ん中で、いつも出来の良い兄と妹と比べられてきた
兄は、勉強が出来てスポーツも万能で顔立ちも整っており非の打ち所がない
妹の方は、頭はそれ程良くないが人当たりが良く誰とでもすぐに仲良くなれる、そしてモデルをやっている
そんな2人に比べ、私は成績は中の下で運動はあまり得意でも無く、性格も暗い
両親も2人の方を優先して、私には無関心に近かった、その影響か兄も妹も私と話す事は余りなかった
でも、それだけならマシだった
本当に心が折れたのは、出来た友達や彼氏すら私を兄や妹と繋がる為の駒としか見ていないと理解した時だった
全てが嫌になりキャリーバック1つに詰めるだけの荷物を詰め、そのまま家を出た
所持金が尽きるまで、遠くに行こうと思って辿り着いたのがこの街だった
ここに着いてからは、マッチングアプリでマッチしたおじさんを相手にしてその日暮らしのお金を稼いでいた
そんなある日、今までは穏やかそうな相手を選んでいたが、その日はそんな相手が見つからず仕方なく1番金払いの良さそうなヤツにした
それが間違いだった、待ち合わせ場所に向かうと若い男数人に囲まれて、その中の1人にナイフで脅されて車に乗れと言われた
私は、この後のに訪れるであろう自身の運命に身体が震え思う様に動かなかった
そんな私に苛ついたのか早く歩けと後ろから膝でお尻を蹴られた、その勢いが強くその場で転倒してしまう
しかし、倒れても如何にも怪しい男達に取り囲まれている性なのか、周囲には人がいるのに関わりたくないのか誰も助けてくれない
惨めで情け無くて、こんな事なら駒でいいから元の生活の方が良かったと後悔しながら涙を流した
そんな時
「大丈夫かい?1人で立てるかい?」
そう声をかけられた、聞こえた方を見ると優しそうなおじさんがこちらに手を差し伸べていた
産まれて初めての純粋な優しさに私は、その手が神様の救いの手に感じさらにはおじ様の背からは後光が差してるかの様な錯覚すら覚えた
だが、そんなおじ様に男達は怒りを露わにして怒声を浴びせる
「何だぁ?おっさん
痛い目に遭いたくなかったら、さっさと失せなっ」
「いやいや、それは出来ないよ
だって、君の持ってるナイフで脅してる様に見えたし、その子泣いてるじゃないか」
「ちっ、おっさんヒーロー気取りかよ
けどよ、おっさんにさぁ、この人数相手に何が出来んの?」
男達の数は合計で7人も居た
確かにこの数は、例えケンカ慣れしてたとしてもキツいはずだ
しかし、そんな言葉にもおじ様は毅然とした態度で答える
「通報したから、警察が来るまでの時間稼ぎ」
まさかの他力本願だった
しかし、その言葉は男達には効いたようで、悪態を吐きながら走って逃げて行った
その後、数分経って警察が来て事情聴取を受け解放された
しかし、行く宛も無かった私はダメ元でおじ様に家に泊めてくれないかとお願いした
おじ様は、最初断ってホテルで泊まれるくらいのお金を渡して来て、これで何処かに泊まった方がいいと言って来たが
怖いから誰か人と一緒に居たいと嘘を吐いた
優しいおじ様はその嘘を信じて私を家に泊めてくれた
そして、次の日にお礼に店を手伝うと言ってそこからなし崩し的に1年も一緒に同棲している




