第3章 響きわたる炎にのせて 3-11
喫茶店で働き始めて1週間が経過して、働くのにも慣れて来た頃
休憩中に金髪のお姉さんこと、亀井里帆が真剣な顔で話があると声を掛けて来た
「貴女は、何が目的で此処で働いているの?
ここ1週間様子を伺って来たけれど、悪い事を考えてる訳じゃないのはわかるけど
お金が欲しくて働いてる感じもないから」
「ああ?目的?
目的かぁ、目的ねぇ
……あぁー多分、あのおっさん見てたらよぉ
なーんか手助けしたくなったんだよ、ほら何か愛嬌があって、ほっとけない感じするじゃん」
「その部分には同意するわ
だけど、本当にそれだけ?」
こちらを問い詰める様に質問してくる里帆
まるで、俺の何かに対して怯えている感じがする、それが何かは分からないがここまで真剣に聞いて来たので本心を話す事にした
「誰かに必要とされる場所が欲しかったんだよ
俺、家や学校じゃあ腫れ物に触るみたいに、誰も関わって来ないんだよ
原因を作った俺にも非はあると思うけど
やっぱ、1人は寂しいんだよ
……それにさ、昔俺に優しくしてくれた叔父さんに何処か似てるんだよ」
思いかけずに自分の口から出た最後の言葉に今までの自分の心情にふと納得した
最初に感じた複雑な感情は、消えてしまった茶蒲叔父さんを思い出して、安堵と同時に置いて行かれた怒りを感じたから
次に会った時に、手を貸したくなったのも似ていてたからだ、優しいあの人に
「そう、わかったわ」
そんな心情を知ってか知らずか、里帆は茶化す事なく言葉を受け入れた
それと、同時にさっきまであった、こちらに対しての恐怖心みたいなものが無くなっているようにも感じられた
何を恐れていた?
しかし、考えても答えは出そうになかったので、その場では思考を放棄したが後日その理由が判明した
それは、閉店後の掃除をしている時
里帆がイスの脚に引っかかって転びそうになった所をおっさんが咄嗟に後ろから里帆の腰に手を回し助けた
おっさんからは見えてないがその時の里帆は、顔を真っ赤に染めて嬉しそうな顔をしていた
瞬間に点と点が繋がって、全てを理解した
里帆は、おっさんが好きなのか
だから、俺に働く理由を細かく質問したのか
もし俺が、おっさんに恋しているとして
それが働く理由なら、自分のライバルになるかもしれないから
これは、後で詳細を聞かないとなぁ
まさか、俺にだけ事情を聞いといて、そっちは何も話さないのはフェアじゃないからな
俺はいいネタを見つけたとニヤつきながらその光景を見ていた
そして、その後に里帆と2人きりになった所で里帆の事情を聞いた




