第3章 響きわたる炎にのせて 3-10
そして、朝
いつも通り何処かヘドロがまとわりついた様な不快な感じがしつつ目覚める
今日は、どうやって時間を潰そうかと考えているとポケットに何か入っているのに気付く
それを取り出してみるとクシャクシャに丸められた名刺だった
そういや、昨日変なおっさんに貰ったなと思いつつ何気無しに包みを開くと名刺には若穂井陸と書かれていて、その下にはお店の場所、名前、営業時間等が記載されていた
「丁度いいな、今日はここで時間を潰すか」
そう決めると風呂に入り、財布と携帯だけ持つと両親に合わない為に逃げる様に家を出る、どう顔を合わせても学校へ行けと言われるだけだろう
外に出ると周りの人は、学校や会社に行く為に走っていたり、早歩きだったりしていて時間に追われて窮屈そうに見える
俺はそんな中をゆっくりと歩いている、それだけでお前らとは違うと、優越感と疎外感を同時に感じる
そして、家から出て20分くらいでお店に着いた。外観はレンガ造りのシックな喫茶店といった感じだ
緊張しつつ中に入ると
「いっらっしゃいませ」
身長が180cmはある金髪のモデルみたいな女性が出迎えてくれた
「1名様ですね、お好きな席へどうぞ」
俺は、カウンター席に座りおっさんへと声を掛ける
「昨日の夜は、お世話になったなおっさん」
「昨日の今日で来てくれたんだ、ありがとう精一杯のサービスを提供させてもらうよ」
1日経ったせいか、それともお店の雰囲気のお陰か不思議とおっさんに対して、昨日みたいな腹立たしさは湧いてこなかった、寧ろ安心感さえある
それからメニュー表を開きオムライスとコーヒーを注文する
しばらくして、先にコーヒーが出て来た、今まで飲んだ中で1番と思える程に美味かった
その後オムライスが出される、それを一口食べると不味くは無いが美味しいとも言えない中途半端な味だった
「コーヒーは美味いのに、オムライスは微妙だな…」
思わず口に出す
「ううっ……ハッキリ言うねぇ
料理って普通何度もやれば上手くなるはずなんだけど、僕の腕全然上達しないんだよね…はぁ……」
おっさんは、顔を手で覆い溜息を吐いて分かりやすく落ち込んだ、その仕草が可愛く見えて
「ハハハハハハハハっ」
腹の底から笑った
楽しくて笑うのは何年か振りで、笑顔が引き攣っているかもしれないが嬉しかった、まだ自分は笑えるんだと
だからなのか、普段なら絶対言わない言葉を吐いてしまった
「だったら、俺がここで働いて料理担当になってやろうか?」
「えっ?君、料理得意なの?
いや、それよりも働いても大丈夫なの?学校とかあるんじゃないの?」
「大丈夫だ
料理は訳あって小学生の頃からやってるし、店出しても問題無いレベルってのは、知り合いに食わせて確認済みだ
それと学校は行かなくてもいい
どうせ、行っても無視されるだけだ」
「うーーーーーーん」
おっさんは、唸り声を出しながら考え込んだが、最後には納得したのか働くのをOKしてくれた




