第2章 ひび割れた純真 2-36
ここまで思い出に浸った所で、知童の意識は浮上した
だが、身体は思うように動かなかった、それで確信した
死体操作のスキルが解除された事に
「目を覚ましたか」
こちらが目を開けた事に気付いたオリアナが声掛けてきた
「貴女方の負けだ、大人しく装飾を渡すんだ
そうすれば、今すぐに治療をしてあげるよ」
知童は、自重気味に笑いながら応えた
「ハハっ残念ながら、私は既に装飾を全て奪われている
さらに言うなれば、私は死んでいて死体操作で自身の身体を動かしていた
そして、それが強制解除されたから後は死ぬだけだ」
「なっ?!」
オリアナは、口をあんぐりと開けながら驚いた様子だった
「勝ったのに、間抜けな顔だな
まさか殺すつもりは無かったとか言い出さないよな?」
「確かに殺すつもりで仕掛けたが
息があるなら助ける気があったのも事実だ」
「そうか、死ぬついでに一つ聞いてもいいか?
お前達の強化するスキルは、10分が限界と聞いていたんだが、どうして10分以上経ってるのにスキルが継続してたんだ?」
「それは、貴様達が創り出したこの空間の時間が普通の時間より3倍早く進んでいるだろ
だから、こっちの10分は元の3分ちょっとの時間しか経ってないことになる
スキル時間が元時間基準なのは、さっきスキルのインターバルで確認した
そして、そちらが時間稼ぎと言葉にした時にスキル継続時間を誤認しているのに気付いた
後20分以上も継続時間が残っているのにあの場面で時間稼ぎって言われてもまだまだ余裕のある時間だしね」
「成程、私は自分の創った空間のせいで負けたという事か
まさに因果応報という訳か」
そんな会話をしていると
オリアナの後ろの方から治療を終えおんぶで背負われているメアと運んでいる時武、その横を悠々と歩いている辺見が見えた
「どうやら、決着は着いた様だね
見た所、オリアナ君の勝ちみたいだが」
「辺見ぃ……」
知童は鬼の様な形相で辺見を睨む
しかし、それを意にも介さず口を開く
「怜、君はどうして
こんな事をしてしまったんだい?
君は全ての患者を助けたいと言う立派な目標があったじゃないか」
「その夢をお前が否定したんだろ!」
「否定?してないが?」
辺見は思い当たる節がないのかきょとんとした顔で首を傾げていた
「ふざけるなよ!
あの時確かにお前は、10年早いって言って否定して突き返しただろうが」
「あの話か、あれは言葉通り10年早いって意味だ、他意はない」
「どうゆう意味だ?」
「10年経てば私が親のコネで医院長のポジションに就く予定だった
そうなれば、君の意見がそのまま通ると
あの時そこまで話した気がするのだが?
まさか、最後まで聞いていなかったのか?」
知童は目を見開いて辺見を数秒程見つめた後
静かに涙を流しながら空を仰ぎ見た




