第2章 ひび割れた純真 2-33
知童は、医院長室での出来事を全て話した
すると辺見が返した答えは、予想外のものだった
「成程、君は1人の患者を無理にでも救いたいと論文を提出し、それを却下されたと……
私が言える事は
"君がそういった行動を起こすのは10年早い"
何故なr………」
知童はその言葉で心が砕けた
最早、辺見が続ける言葉を聞く事すら出来なくなっていた
身体が寒い、息が詰まる、頭が痛い
同じ志を持っていると思っていた辺見の裏切りに近い発言に知童は、完全に壊れた
その後、気付いたら自室に帰っていた
だが、心は落ち着く事は無い
激しい焦燥感に駆られ、近所迷惑も考えずその場で慟哭する
暫くその場で暴れ回った後、騙されていた事への悔しさから泣いた
泣き終えた後は、少し間ぼーっとして、それから湧き上がった感情は身を焦がす程の怒りだった
握り締めた手の平からは、血が出る
そして、恨み言を口にする
「やはり、この世は理不尽だ
正しい事をしようとすると邪魔される
これも全部、愚かな金持ちの性だ
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い……」
すると、何処からか声が聞こえた
「貴方の心からの強い思いを感じました
貴方はその思いを叶えるチャンスが欲しいですか?」
周りを見渡すが誰も居ない、余りのストレスにとうとう幻聴まで聞こえ始めたかと思った
しかし、その言葉に反射的に応えてしまった
「欲しい、欲しいよ
そんなチャンスがあるなら欲しいに決まってるじゃないか」
「分かりました、では力を授けましょう」
その台詞と同時に頭の中にそのゲームに関する知識が一気に流れ込んで来た
その情報の多さに酷い頭痛がし、そのまま気絶してしまった
朝、起きると妙にすっきりとしており
昨日の夜の出来事は夢なのかと思い
試しに、得た知識で戦闘状態というモノになってみた
すると、鎧を着た状態になっていた
「す、すごい
あれは、夢じゃなかったんだ」
知童は、異常なまでの万能感に包まれていた
一頻りその余韻に浸っていたが、ふと我に返り慌てて出勤した
勤務をこなしながら、ずっと頭の片隅ではゲームの事を考えていた
「やはり、優秀で志を共にする詠手を探す事から始めなければな」
一瞬、辺見が頭を過ぎるが
「ダメだ、アイツは俺を裏切った」
ゲームの事を考えながら日々を過ごし、気が付けば3週間が経過していた
すると、多留姫の容体が悪化し今にも亡くなってもおかしくない状態にまでなっていた
知童は多留姫に会いに行き、謝罪の言葉を口にしていた
「ごめん、私が助けるとか言ったが
こんな事になってしまって」
「いいよ、先生は私の為に色々尽くしてくれんたんでしょ?
悪いのは先生じゃ無くて、上の人達だよ」
許されても少しも罪悪感が薄れなかった
出来ればどんな事をしてでも助けたかった
何か自分に出来る事はないか?
ふと思った彼女を詠手にして、病状が悪化しない様なスキルを作ればいいでは?と
考える、考える、考える、考える
私のテーマは、青髭
何か、何か、何か無いか……
………思い着いてしまった、これならいけるかもしれない
しかし、これは悪魔の発想だ




