第2章 ひび割れた純真 2-17
2階へ上がると廊下には、ゾンビ共がこちらがここへ来るのをわかっていたかの様に待ち構えている
パッと見たところ20〜30体ほど居る
「約束した通り、今度は私達がゾンビ共の相手をしよう
セレナ、スキルをよろしく頼む」
「うん、お姉ちゃんいくよ!
"騎士団の行進"」
スキルが発動するとオリアナの身体は鎧で包まれ、何も無い空間からメイスと盾を取り出した
そして、ゾンビ共を次々と叩き潰し始めた
「これは、一体どうゆうスキルなんですか?」
「これは、10分間だけ好きな武器を自在に使う事が出来て、さらにスピードとパワーが10倍に上がるスキルです」
「10倍はすごいな、公園で見せたスピードですら速く感じたのに」
メアにそう言われて、公園で突撃して来た時のスピードを思いだした
確かに10mの間合いを一瞬で詰めて来ていた
あの速さが10倍にまで跳ね上がると考えると破格のスキルだと感じる
「でも、スキルの使用後は使った時間分のインターバルが必要なんです
例えば"騎士団の行進"を3分使うと3分間使う事が出来なくなります」
セレナと会話している間にゾンビ共も一体も残さず倒されていた
会話時間は、1分にも満たないはずなのに、余りにも早い殲滅に、心から敵対しなくってよかったと思った
それから辺りを見回すと、血が飛び散り、ぺんしゃんこになって、地面にもメイスで叩いた跡が分かるくらいヒビが入っていた
スプラッタな場面ではあるが、さっきの挽肉よりは、幾分かマシであった
「ここら辺に居るゾンビ共は、全部倒したはずだが」
「では、この階を調べようか」
辺見は、そう言うと先陣を切って進んで行った
そして、閉まっているドアを開けて、一つ一つの部屋を見て周った
最初は、ゾンビを警戒して恐る恐るドアを開けていたが、徐々に慣れてくると躊躇なく開けるようになっていた
この階は、検査室が多くあちらこちらにカルテが落ちていたりしてはいたがそれ以外ほぼ何も無い、脱出の手掛かりになりそうな物は見当たらなかった、それから念の為と窓を叩いて確認してみたが案の定どうやっても壊れる事は無かった
「この階を調べたが、脱出の手掛かりは何も無かったな
では、次の階を調べようか」
最早、辺見の指示に従う事に、俺達は抵抗を覚えていなかった
それまでに、今の状況は絶望的であった




