序章 めくるめく運命 0-3
家族にバレるのが嫌だったので
俺は、少女を道場の方へ案内した
道場に着くと早速本題へと入る
「まずは基本的な事から
このゲームの参加者はプレイヤーと呼ばれ
プレイヤーにはそれぞれ童話からテーマが与えられる
プレイヤーはそのテーマに沿って能力を編集出来る
でも、プレイヤー自身で編集することは出来ない
だから、1人詠手と呼ばれる協力者と契約して
能力を編集させる必要がある
因みに私のテーマは赤ずきん」
「何故?ゲームをしているんだ?」
「ゲームの開催理由はわからないけどゲームで
条件を満たすとプレイヤーと詠手のそれぞれの願いが叶う」
「その条件は何だ?」
「他のプレイヤーの装飾品を奪い
詠手が持っている記録書に10種類登録すること
つまり10人程プレイヤーを倒せばいい」
「装飾は1人1つだけ?」
「いや1人3つある」
「全部奪われるとどうなる?」
「ゲームの参加権を失う」
「じゃあ、10人で協力して装飾品を交換しあえばいいんじゃない」
「1回のゲームで3回願いが叶えられた時点で
ゲームが一度リセットされるから多人数の協力は厳しい」
「そっか
じゃあ、さっき言ってた能力の編集って何だ?」
「まず、何か書き込む物をイメージして」
そう言われたので俺は本をイメージする
すると、左手の模様が僅かに光ったと思ったら
いつのまにか手に本が乗っていた
「本が出てきたがどうすればいい?」
「適当にページを開いてみて」
ページを開くと
中は真っ白だった
「何も書いてないんだが?」
「だから編集って言った
そこに詠手がテーマに沿って好きなように
解釈して、武器や能力を作るんだ
それを使ってプレイヤーは戦う」
「例えば
君はテーマが赤ずきんだから狩人が使う銃とか?」
「そう、そんな感じ
後、イメージが大事だから編集する時は
文字だけじゃなくて絵とかもあるとより強力になる」
「それじゃあ、最後の質問だ
君の願いは何?」
「家族を取り戻すこと」
彼女は、悲痛な顔で言う
その顔を見ると
何とも言えない感情に苛まれた
そして、俺は覚悟を決めた
「君の願いを叶えるのを全力で手伝おう」
「....ありがとう」
照れ隠しなのかフード深く被り消え入るような
か細い声で礼をくれた
フードの隙間から見えた頬は心なしか赤く染まっているように見えた