第1章 潮風に混ざる鉄 1-18
「どうやら、集中が途切れると上空の水は維持出来ないらしいね」
そう言うと赤ずきんは、またナイフを飛ばして来る
今度は、正面にしか寄越して来なかったので軽々と避けた
はずだったが背中に衝撃が走った
痛みのあった方を触ると確かに避けたはずのナイフが刺さっていた
しかし、傷はそこまで深くはなかった
これなら直ぐに治るので問題はないですわ
だが、また維持している水が少し溢れている
ナイフが刺さる度に、集中力が僅かに途切れ水を維持出来なくなる
つまり、このナイフを謎を解かない限り攻撃するための水量を確保出来なくなる
「(ただでさえスキルの威力が減退している今
物量でゴリ押しするしか勝ち目がないのに
そうなったのも液体爆弾で大ダメージを喰らわす予定でしたのに全然ダメージ与えてる様子がないのが原因ですのに
どうしてあんなに硬いんですのっ!
ああ、もう作戦の練り直しですわ)」
そうやって考えてる間も赤ずきんの攻撃は、止まってくれない
次々と正面からのナイフ飛んで来ては避けるが、やはり死角からナイフも飛んで来る
何本かが刺さり徐々に上空の水も減ってしまう
いっその事雨みたいに降らせている水を辞めてしまおうかと思うもそれをやってしまうと
おそらく木に避難した詠手も一緒に2人同時に攻撃して来るだろう前みたいに
なので、この雨を止めることは出来るはずがない
「(ならいっそ範囲を狭めてみましょうか?
ナイフが当たる確率も上がるかもしれませんが
水のコントロールの精度が上がって相手に付着した後の水も操れるはず
それで、動きを止める事が出来ますわ
そして、その後残ってる水を固めて押し潰せばいいんですわ!
いけます、いけますわこの作戦なら!)」
思い立ったが吉日
すぐに雨の範囲を狭めた
すると相手も即気付いたようで地面の爆弾を気にしつつ距離を詰めて来た
「すぐに水を節約するって事は、この水が無くなったらヤバいってこと?」
赤ずきんは、弱点を見つけたと言わんばかりの顔して、さらにジリジリと距離を詰めて来る
そうしてとうとう私と赤ずきんの距離は、10m程になった
一髪触発の中先に動いたのは、赤ずきんだった
馬鹿の一つ覚えのようにナイフを投げつけた
近くなった距離で、私は注意深くそれを観察する
そして、さっきまでの攻撃の記憶と照らし合わせる
するとナイフが曲がってくるようになってからナイフを必ず偶数の本数で投げているのに気付いた
そこに何か意味があると思って、それを確信に変える為に敢えてナイフを受けた
距離も近くなった事もありナイフは、思った以上に深く刺さり痛みでまた集中力が切れそうになるのを何とか持ち堪えた
追撃がないかと赤ずきんの方に目をやると
避けなかったのが意外だったのか
また、その事で曲がるナイフのタネがバレるのが嫌なのか、少し焦ったみたいな顔をしていた
それから、刺さったナイフを凝視する
すると、ナイフの柄の尻の部分に細い糸みたいな物が括り付けられているのがわかった
天 啓 得 た り で す わ
「(なるほどなるほどですわ
偶数の謎や曲がる謎が全て解けましたわ)
最初の一本目のナイフを木に刺して、それを軸にして
糸を付けた二本目のナイフを角度をつけて投げると振り子の要領で曲がる
それがナイフが曲がるタネですわ」
その事実を赤ずきんへ突きつける
「へぇ〜
意外とバカじゃなかったんだね
適当に水ばら撒いてるだけだったからスプリンクラーかと思ったよ」
赤ずきんは、煽ってこちらを馬鹿にする
明らかにこっちを怒らせて判断力を無くそうとしている感じがする
「(罠と分かっていてもムカつきますわね
今すぐにでも仕掛けたいですけど
まだ水の被り具合が足りませんわ
せめて、被っているフードが肌に張り付くまで濡れてくれないと安心は、出来ませんわ)」
そう考えながら赤ずきんを監視していると
彼女は、足元に落ちていた石を拾い上げるとそれに糸を括りつけるとそれを回転させた
どんどんと糸を回していき、遠心力で充分な力が溜まった瞬間
今度はそれをこちらに向かって振り回し始めた




