序章 めくるめく運命 0-1
俺の名前は佐波時武
今日もいつも通りに目が覚めた
そして、日課であるジョギングをしてから
家の隣に併設されたじぃちゃんの道場へ向かう
じぃちゃんは古武術の道場をやっている
なので、自然と子供の頃から俺も古武術を学んでいる
「おはよう、じぃちゃん」
「おう、おはよう時武」
挨拶を交わし終えると準備運動もそこそこに
いつも通りに組手をする
じぃちゃんは、いつも本気でやってくる
なので、今まで一度も勝てたことはない
来る日も来る日も投げ飛ばされて受け身だけは上達した
今日は、30分で8回も転がされた
組手の後
息を整えてる時に声がかけられる
「時武、テレビを見てみろ」
じぃちゃんに言われ顔だけをテレビの方に向ける
「昨夜、笛有市栗夢町で何者かが建築中の建設現場に侵入し
建築中の建造物を破壊しました
幸い夜間の犯行の為人的被害は有りませんでした
最近、市内の至る所で建造物の破損が相次いで報告されており
警察は、これら一連の事件は同一犯ではないかとの見解を示しており…」
そこには、ニュースキャスターがこの市で事件が多発している事を告げていた
「昨日のニュースでは、障害事件も多発しているっていう
ニュースもやっていたし気をつけるんだぞ」
俺は、不安そうなじぃちゃんに
「わかった、気を付けて
危なそうな場所には近づかないようにするよ」
そう返して
準備してから大学へと向かった
-------
講義を終え
友人達と会話をしていた
「なぁ、時武ぇ~
俺この前さぁ、剣道で有名な選手の溝口蘭に会ったんだよねぇ~」
この自慢話をネチっこく言う男は
麿 斗真
「確かこの前は、アーチェリーの選手に会ったって言ってなかった?」
いつもの自慢話に口調は優しげだがどこか突き放した言葉を返すのは
博 葉桜
2人とは中学時代からの友人だ
しかし、この2人は水と油みたいにいつも意見が合わない
今回も、斗真の自慢話に対して嫌そうな顔をしている
このままだとまたケンカになりそうなので話題を変えることにした
「なぁ、最近ここら辺でいろんな物が破壊されていたり
障害事件が多発してるってニュースがあったんだが
2人は何か知ってたりする?」
「ああ、よ~く知ってるさ
なんせ僕のパパが被害者だからね」
「被害者って…
まさか、襲われたのかっ?!」
「違う違う直接じゃあないさ
僕のパパがここら一帯の土地を買い取って
開発をしているを知っているだろう?」
斗真の父親は、大企業の社長だ
その会社が市長と協力して地元であるこの街を
発展させるため都市開発をしているのだ
「多数の工事中の場所でさ、建設中の物が壊されてんだよ。
しかも、ご丁寧に監視カメラも破壊してさ
もうパパはカンカンでさ絶対に犯人を捕まえて
弁償させてやるって言ってたよ。」
「怖いね、早く犯人捕まるといいね。」
「同意だな」
そう言って俺達は帰路に着いた