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元貴が4月から進学する大学の話など、他愛もない話をメールでする。元貴は萌音の正体がわからなかったので、バスケットボール部の1年生の女子数名にLINEで探りを入れてみた。
【ねえ、1年の萌音ちゃんって子知ってる? 実は萌音ちゃんからチョコレートもらったんだけど、どんな子かわからなくて……】
1年生の後輩のうちの1人、冨川舞子から返信が来る。
【知ってますよ! 稲福萌音ちゃん。私同じクラスなんですけど、明るくてめっちゃ頭いい子です】
萌音と同じクラスという後輩から、萌音の素性を聞くことができて元貴は安心した。実は元貴には他校ーー県内で1番偏差値が高い公立高校ーーに通う彼女がいるのだが、萌音にどのタイミングで切り出すか悩んでいたのだ。萌音は元貴に彼女がいないものと思っている可能性があるけれど、そろそろ彼女がいると言わなくては萌音も彼女も傷つけてしまう結果になるから。
そんなとき、萌音からメールが来た。
【卒業式で、小槌先輩を見送りに来てもいいですか?】




