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 それから姉が高校、結乃が中学校に進学するタイミングで日本に帰国する。結乃は英語の授業で流暢な発音をして、他の生徒から「赤池のヤツ、何カッコつけてるの?」と小馬鹿にされ、泣きながら帰ってきたこともあった。それでも姉は真摯に話を聞いてくれた。姉は結乃にとって親友であり、第二の母親のような存在でもあったのだ。そんな姉が亡くなり、心に穴が空いたような気分になる。

 姉の29歳の誕生日が来た。姉は亡くなったとしても、結乃の心の中で生きていて、大切な存在であることは変わらない。結乃は花屋さんで買った花束を持ち、電車に乗る。実家に届けるためだ。通勤ラッシュなので、たくさんの人が乗っていて車内は満員になっている。この花束だけは誰にも潰されたくないと思い、結乃は大事に花束を抱えていた。

 そんなときスーツ姿の若い男性が結乃の前に立ち、結乃が立っている場所の横にある手すりを持つ。男性は結乃を周りの人から守ろうとしているようだ。ガードされていることに気づいた結乃はスマホのメモに「ありがとうございます」と書き、男性に見せる。男性はニコッとしながら頷き、結乃の実家の最寄駅で降りていく。きっとこの辺りで働く人なのだろうと結乃は思った。

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