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磯野涼音は、大学時代から3年間付き合っていた同い年の恋人と社会人1年目になってから別れた。就職した当初は東京都と兵庫県で遠距離恋愛をしていたものの、お互いの仕事が多忙になり、会う頻度が減ったからだ。それだけならまだしも、すれ違いが起き始めた頃、東京に住んでいる恋人が同期の女性と相思相愛になったという。それで一方的に涼音が振られた。
最初の1ヶ月は元恋人のことを引きずりながら過ごす。しかし仕事したり女友達と遊んだりするうちに、元恋人の存在は薄れていった。ある日、涼音は退勤していつも通り駅に向かう。すれ違ったのは幸せそうに談笑する20代半ばか後半くらいの若い夫婦と、2歳か3歳くらいの娘だ。お母さんのiPhoneのロック画面がチラリと見えたが、そこにはサンタクロースの服と帽子を身にまとった娘が写っている。おそらく家族でクリスマスパーティーをしたのだろう。
ーー世の中、どうしてうまくいかないのだろう。男女関係はお互いを傷つけ合った末に終わりがくる。そんな中でも、いつまでも仲良く過ごしている人もいるわけで。私にも、いつかこうして家族で笑って過ごせる奇跡は来るのだろうか。涼音はそんなことを考えながら電車に揺られていた。




