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続いて、議題の中心が冨松さんに移る。福島先生は「ではなぜ冨松さんはみんなに避けられるようになったと思いますか?」と女子全員に話を振った。すると、冨松さんのグループで子分のように顎で使われていた女子たちから次々と不満が飛び交う。
「冨松さんのわがままなところが嫌でした」
「偉そうな態度が嫌でした」
「特定の子を無視しようって言われて、断ったら私が仲間はずれになりました」
彼女たちも冨松さんの不満を吐き出した後、スッキリした表情になっていた。福島先生の一声により、話し合いは終わる。
恭子は笹木さんについても冨松さんについても何も発言しなかったが、それで福島先生から咎められてはいない。むしろ恭子は、「福島先生はこれで問題を解決できたつもり?」と思っていた。彼女たちにも避けられるだけの理由があったとしても、教師がいじめを助長するようなことをしてどうするのか。それで解決したと言えるのか。恭子の中で、福島先生に対する不信感だけが残った。




