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「結婚してください!」優生はそう言ってひざまずき、菜生子にティファニーの婚約指輪を差し出した。菜生子は「え、嘘、私でいいの……?」と目を丸くしている。「菜生ちゃんがいいんだ。俺の奥さんはもう、菜生ちゃんしかいないから。2人で幸せになろうね」と優生。
「うん!」そう言って菜生子は優生に抱きついた。
「女子全員、図書館に集まってください。その間、男子は教室で自習です」
6年1組の女性担任・福島先生はそう言って女子全員を図書館に集める。おそらくあのことだろう。集められたうちの1人である佐倉恭子はそう思った。
恭子が思う「あのこと」とは、クラスでみんなに避けられている冨松さんと笹木さんのことだ。冨松さんはクラスで女王様のように振る舞い、グループの女子をローテーションで仲間はずれにしていたのだが、ついに冨松さん本人が仲間はずれにされてしまった。笹木さんは虚言癖ーー男性芸能人が親戚にいる・海外にバカンスに行ったなどーー、自己中心的ーー自分の思い通りにならないと泣くーーな振る舞い、特定の女子ーー名前は山本さんといい、過去の担任教師から笹木さんのお世話役に任命されたことがあるーーにべったり依存していることから、誰も笹木さんとは仲良くしなくなったのだ。




