六受験~そして散りゆく希望の花
季節は冬。鈴香は勉強に励んでいた。
なぜなら、受験をするからだ。もちろん、今までも勉強はしていたが、これからの時期が本番だ。塾の雰囲気もぴりぴりしている。
鈴香の通う光ヶ丘小学校の児童はたいてい、光ヶ丘中学校に進学する。だが、鈴香は自転車で通える距離の、偏差値がそこそこ高い学校に通う予定だ。
そんな彼女には、ライバルというか目の敵にしている人物がいる。ゆりという名の少女だ。
ゆりは優秀で、同じクラスになってからは鈴香は二番目になってしまった。
だが今は、ゆりに文句を言ったりしている暇はない。
鈴香とゆりは同じ西川中に行くのだ。とにかくゆりにだけは負けたくない。
西川中学校は中高一貫だ。この町ではかなり有名で、この地域や少し遠くから毎年エリートが集まる。
こんな学校に行くには、勉強するしかない。鈴香は授業の時間が長く感じた。
そんな日々は続き、とうとう試験の日が来た。今日という日だけで、運命が変わるかもしれない。
途中までついてきてくれた母にさよならを言い、鈴香は会場に入った。
ワークシートに鉛筆を走らせながら、鈴香はゆりを見つけた。
合格祈願の鉛筆を走らせている。
あいつなんか合格するわけないわ!鈴香は鼻を鳴らした。
そんなことをしていたからかどうかは定かではないが、鈴香はいつもの調子が出なかった。
そして試験は終わった。
(うわあ・・・全部埋められなかった。)
鈴香は冷や汗をかく。
そして結果発表の日まで、鈴香は気が気でなかった。
あの学校に合格できなかったら・・・ゆりだけ合格したら・・・。
そして、時は過ぎていく。
『23』
その番号を探す少女がいた。
彼女は口を開けて、閉じた。
人差し指をゆっくり下ろす。
目がぱっちり空いた。