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第84話 ミーナの薬草畑(2)


「薬草か〜、私ちょっと勉強しないとなぁ」


 リアは不思議そうに薬草を眺めながら言った。農場の一角を薬草畑にすることになった。木板で区切って、ミーナの指示で俺たちは薬草を植えていく。

 リアは一つ一つノートに取りながらミーナに質問をしている。本当に彼女は勉強熱心で……そういや親父も褒めてたっけ。


「ミーナさん、成長水は使えないので井戸水を使ってください」


「わかったわ」


「水やりはどのくらいの頻度でしてますか?」


「そうね、毎朝あげてるけど……どうかしら」


 リアはメモを取る。俺は薬草の独特な香りを嗅いで脳に焼き付けた。一般的な薬草だけじゃなくて俺が知らないものもあったからだ。

 次ダンジョンに行ったら探してみようか、そんなことを考えていた時だった。


「ソルトさーん!」


 面倒事を運んできそうなやつが1人、俺の農場へ入ってきた。


***


「で、何の用ですか」


 俺の冷たい言葉にヴァネッサは口を尖らせる。研究部の幹部様がどうして俺の農園にやってきたか?

 そりゃ、面倒事を俺に押し付けるためだ。


 俺の目の前、暖炉の前のローテーブルでカタカタと揺れている大きなたまご。


「タケル殿が潜ったダンジョンで見つけたものでな。そうそう、突然変異が起きていたダンジョンだよ。この卵もS級の魔物が生まれるんだ」


「それで、なんでここで育てるんですか」


 俺の視線を遮るように卵を持ち上げて、ヴァネッサはもごもごと言い訳をする。


「コボルトのダンジョンで見つかった卵か……馬鹿でかい狼だったらどうするんですか」


「だからお願いしているんじゃないか。ここは大きな土地があるかから……でかくなる魔物でもなんとかなるでしょ?」


 コボルト……かぁ。


「いや、コボルトならお断りです。うちにはコボルトに襲われた経験がある人間がいます。彼女が住みにくくなるなら……」


「私なら大丈夫よ」


 リアが台所から顔を出した。

 

「はじめて変異種を倒した時私は克服したもの。それに、その卵からはシューちゃんやクシナダみたいな子が生まれるんでしょ? ならうちにいてもいいじゃない」


 いらないフォローやめてくれ!

 俺はリアのトラウマを利用してなんとかこの案件を断るつもりだったのだ。果樹園の管理小屋ができたし部屋にも土地にも空きが出てきたバッチリのタイミングだけども……。


「研究部の材料にしないんですか? なんでわざわざ俺に?」


 ヴァネッサは理由を言えないようだったが、どういうことなんだ。


「詳しいことは言えないが育ててくれないか、頼むよ」


「断ります」


「そう言わずに、運転資金も……場合によっては土地も買ってやる! 研究部が全部金出すから……ね?」


 呆れ顔のミーナとエリーは俺の魂胆がわかったようだ。


「なら、そうだな、果樹園の奥にもう1エーカー土地が必要だ。そこで魔物の飼育をしようじゃないか」


「あいつは悪魔にゃ」

「ほんと……銭ゲバです」

「それ昔からよ」

「本当ですか……ソルトさんってずっと銭ゲバ……」


 女たちのコソコソ話を聞き流し、俺はヴァネッサから大きな卵を受け取った。

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