なろう限定話 タケルの珍道中1
こちらはなろう様限定のお話になります。少し残酷な表現がございますがお楽しみいただけますと幸いです。
あのソルトとかいう高給取りの鑑定士を追い出したタケル一行は最上級ダンジョン・月狼の間へ足を踏み入れていた。コボルト系のダンジョンの中でも指折りの最上級ダンジョンでは、様々な武器に必要な魔物素材やレアアイテムがドロップする。
新人鑑定士リアは元気一杯。先輩たちは彼女を援護しながら進んだ。
「マリカよ。よろしくね」
リアにとって一際優しかったのはこの回復術師マリカである。美人で強くてそして賢い。タケルにも劣らぬ力は回復術師の領域を超えている。
なんでも家系は魔術師の家系だが回復術天職を持つ彼女は両刀使い。
「イリスよ」
イリスは魔術師ながら弓を使う弓の達人だ。彼女が放つ魔法矢は中級コボルトたちを一掃する。
タケルの「スキル」と呼ばれる不可思議な魔術剣は圧巻だった。魔物たちをなぎ倒し、斬り伏せそして消し炭にする。
リアはドロップアイテムを拾い集めながら思った。
(これが……エンドランド最強のパーティー!)
ダンジョンの中層の魔物はほとんど殲滅されていた。リアは彼らの後ろを歩きながら採集をする。市場でも見かける美味しい果実や肉として加工される肉花草なんかも自生していた。
少し高いところにあるレモンをイリスの弓矢で落としてもらうとリアはたちまち笑顔になった。
「次の階層はセーフティーゾンよ。そこで食事にしましょうか」
マリカの言葉にタケルはにっこりと笑う。
「おっ、定食屋出身の腕の見せ所だね。リア」
「はいっ、私頑張ります」
「食材は集まった? あら、早いのね。やっぱりあのソルトとかいうの無能だったのよ。食材を集めるのもおっそいし、何より大したもの作れないしさ。それなのに法外な給料持ってくなんて。タケルがいくら優しいからってねぇ」
イリスはにっこりと笑ったがリアに釘をさすように
「でも、タケルは私と付き合ってるの。勘違いしたらだめよ」
と言った。リアはマリカが刺すような視線でイリスを睨んでいることに気が付いて、二人から目をそらすとセーフティーゾーンに足を踏み入れた。
「では、調理を始めますね」
「どのくらいでできそうだ? リア」
タケルは甘い視線をリアに向けて微笑んだ。リアはイリスたちに嫌われないようにとタケルから目をそらして
「15分ほどで」
と答えると準備に取り掛かった。リアは冒険者になって、両親から贈られた調理セットを広げて採集した果実や食材を使って元気が出そうなランチを作った。
ピカピカのお椀に注がれたシチューやレモンを絞った魚のムニエル、採集した果実は皮をむいてデザートに。
リアは渾身の料理を仲間たちに振るった。
「おぉ、これはうまい」
「ほんと、鑑定士を変えて正解ね」
「認めざるを得ないわ。もう」
文句をいう女たちもリアの料理を平らげて、一向は少しの間仮眠を取ることにした。
——そう、意識を失ったのだ。
リアが皮をむいてデザートにした果実はただのリンゴではない。動物……主に人間の胃酸に消化されると錯乱作用のあるガスを噴出するのだ。
そう、これがタケルパーティーの崩壊の始まりだった。




