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第73話 反抗期(1)


「クシナダ。本当にお前はそれでいいのか」


 クシナダは頷いた。

 魔物はギルドに登録する際、契約者を決めなければいけない。というのがルールである。例えば、シューは俺と契約を結んでいる。


「だって……私のママはフィオーネだし」


 本当のママのことをクシナダは知っている。俺たちが殺したことも最初に教えていた。彼女がそれを知った後、どんな風に動くかはわからなかったが……


「私は悪い魔物じゃない。シューちゃんも、ウツタちゃんも。でも、私の本当の親はダンジョンの主で……何人も冒険者を殺してた。それだけよ」


 そんな風にクールにいってのけたクシナダは少しだけ悲しい顔をしていた。

 俺は人間だし、そもそも魔物を育てたことなんてないから塩梅がわからないが、その分フィオーネはクシナダの気持ちがわかるらしい。

 フィオーネはサキュバスの血が流れている。それが使えるのかどうかはわからないが偏見は受けてきたようだった。


***


「毒戦士……ですか」


 シャーリャはなんだか嬉しそうにニコニコしているが、クシナダ本人は状況がつかめていないようだった。

 正直、俺もそんな天職初めて聞いた。


「魔物特有のトラップ系の魔術を併用できる戦士……のようだにゃ」


 シューは「私より優秀にゃ」と悔しがっている。それを見るとかなり特異な天職なのかもしれない。まず、人間ではいないだろう。


「クシナダちゃんは生まれつきこちらで暮らしているし、寄宿学校への入学も可能ですよ」


 シャーリャはパンフレットをカウンターに置いた。


「行きたくないです」


「フィオーネさんが近くにいれば安心ですもんね」


 シャーリャの言葉にクシナダはぐっと眉間にしわを寄せ、額から生えた2本のツノが少し赤くなる。

 怒っている合図だ。


「人間だらけの……未熟なガキの中に放り込まれるなんて絶対にいや。ここへ来るまでだって変な目で見られた。絶対に嫌!」


 走り去ったクシナダをフィオーネが追い、俺とシューはシャーリャに謝罪した。魔物への偏見は昔っから知能のある魔物にはよくある問題で、特に冒険者以外の一般人には理解が難しい。

 エルフに対してもそうだが、人間というのは自分と見た目の違う生き物に対して偏見や差別はまだ色濃く存在する。

 エルフは美しさがあり、魔物ではない分まだマシだが、それでも「人外」と罵る人間は多いし、エルフに仕事を奪われたと反対運動をする人間もいる。


「私は大丈夫です。けど……クシナダちゃんが心配です。だって、戦士なんて魔物を倒す天職でしょ? そりゃ、魔物のクシナダちゃんが嫌悪感を感じるのは仕方ないんです。配慮が足りなかったですね」


 正直、クシナダに関しては今後ダンジョンへは行かせないことも十分にできる。あの子は農作業が好きで、おとなしい性格だから。

 ただ、この国で生きていく上で魔物のギルド登録は必須。それがクシナダのナイーブな部分を刺激してしまったかもしれない。


「最近はあんまりご飯も食べないし……クシナダは反抗期かにゃ?」


「反抗期かぁ……」


「にゃ」


 たまごを育てるって決めたのは俺たちだし、これはめんどくさいとかいってらんないよな。

 なんて思いながら俺たちは農場へと向かった。

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