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第67話 ドッグタグ(2)


「お安い御用だぜ!」


 鼻高々に言ってのけたのは俺の元仲間・タケルである。最強の戦士として冒険者を続けている彼に俺たちは依頼を出した。


「クリスタルか……採掘系のダンジョンでまだボスが討伐されてないものってなるといくつかあるよな」


 タケルはヴァネッサとシャーリャが広げた資料をタケルはじっと見つめている。


「おそらく、魔物をグレードアップさせるようなクリスタルだから最上級だろう。まぁ、今すぐにってわけじゃなく、見つけたら持ち帰って俺たちに連絡してくれってこった」


 タケルは「おうよ」と答えたが……こいつわかってるんだろうか。

 まぁ、腕だけは俺が見た中で、誰よりも強い。

 あと「すきる」ってのは半端ない。ずるい。


「それと、シャーリャ。調べて欲しいことがあるんだ」


***


 イモイモ焼きを食べながら、大繁盛のくろねこ亭をベンチから眺めていた。元気に働くウツタやサクラを見ているとなんだかほっこりする。他のガキどもも元気に働いているし、まぁ少しは社会貢献できてるんじゃないか。


「にゃあ」


「シュー、例の件どう思う?」


 魔物の彼女に聞くのは少し気が引けたが、俺には難しい問題だった。ダンジョンにおける冒険者と魔物の関係だ。

 俺たちギルドは勝手にダンジョンを見つけ、そこにポートを作って魔物を狩る。魔物からしてみればたまったもんじゃないだろう。


「全部、仮の話にゃ。ダンジョンは常に進化する。それが活発になっただけの話かもしれにゃいけど……もしもソルトの仮説が正しいなら黒幕がいるにゃ」


 ダンジョンの進化か……。

 そもそも初心者が殺されるから問題だ、なんてのは俺たち側の意見だしなぁ。


「だとしても……無理やり魔物がグレードアップさせられてるにゃら、魔物としても迷惑な話にゃ」


 ははは、それはそうなのかい。

 そういえば、クシナダを生んだ大蛇もかなり疲弊していたような。

 コボルトの変異種に関しては深層にいるはずの仲間を食い尽くしてたし。

 人の手によって無理やり進化させられていたとするとよくないだろう。


「よこすにゃ」


 俺はイモイモ焼きをちぎってシューに食わせる。


「まぁ、タケルに任せていいだろ。魔石なんて眉唾もんだしさ」


 シューがにゃあと鳴いて伸びをした。俺も正直、自分の仮説が外れていることを願っている。


「でも、魔物愛護団体ってのは気になるよなぁ」


「それはきになるにゃ」


「俺に声かけてこない時点でダメだろ、そいつら」


 サキュバスの血が入った戦士に蛇女、さらには雪魔女。シューも入れればうちの住人の半数が魔物である。

 

「ソルトさーん!」


 噂をすればフィオーネである。クシナダ……は?


「クシナダちゃんが脱皮期間に入ったみたいで! こうカチカチになっちゃいまして」


 おおっ、ついに!

 あの大食い幼女が進化するのか。う〜ん、食費がものすごくかかりそうだ。


「そういや、クシナダって天職なんだろうな。蛇女ってどういう系の……」


 シューがため息をついた。


「基本的に蛇系の魔物はパワー系にゃ」


 この親にしてこの子あり……か。俺はフィオーネのニコニコ笑顔を見ながら思った。正直、蛇毒は応用が利くのでそっちに進化してくれると嬉しかったんだがなぁ。


「ソルトはタケルについていかないのかにゃ?」


「いかねぇよ。知ってるだろ、俺、鉱物はあんま得意じゃないし」


 鑑定士といえど得意不得意はある。俺は植物とか生き物には詳しくて、鉱物系にはめっぽう弱い。

 そっちの方が稼げるんだけど。

 宝石やら魔石やらを鑑定して売りさばく。最近幅を聞かせているナントカ商会も鉱物を主に扱っていたはずだ。


「シャーリャにお願いした調べ物がうまくいけば、多分解明するぞ」


***


 猫の姿のシューをたらいに入れて、洗ってやる。正直、シューが女の子だとわかるまでは平気で一緒に風呂に入っていたので違和感はない。

 ただ、目のやり場に困るので俺と入るときは猫になってもらっている。


「極楽、極楽〜」


「だにゃぁ」


 シューが耳をピロピロと動かして温泉の入り口の方を見た。まぁ、誰かが走り込んで来るなんてことはないだろ。


——どたどたっ!


「誰だっ!」


 俺は思わず立ち上がって様子を見る。ひょっこりと顔を出したのは真っ赤な髪に丸いメガネの年増な女。


「あらま……」


「んなっ!」


「ソルトさん! 大変なの! すぐにギルドへ来てちょうだいっ!」



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