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第45話 定食屋の看板娘(1)


「私……お店を持ちたいんです!」


 リアは鑑定所での仕事に農場の仕事、さらにはゾーイとの商品開発を行なっているというのにまだまだ働き足りないようだった。


「土地は?」


「今は露店で商売をしてるけど……お客さんたちがゆっくり座って料理を楽しめる方がいいって」


 あー、懐かしいな。イモイモ焼きの露店をしてたおっちゃん。いまだに名前は知らない。

 あれから、あいすくりーむだのもちもち揚げパンだのが飛ぶように売れている。フウタやその妹、貧民街のガキどもが代わる代わる売り子や手伝いをしても間に合わないくらいだ。


「露店のおっちゃんごと買い取ってその土地に店を建てる……か」


「はいっ、こぢんまりした……ゆっくりお昼から楽しめるようなお店がいいなって。ほら、あそこは貧民街とギルド広場のちょうどつなぎの部分にあるでしょ?どっちのお客さんも楽しめればもっと儲かると思うの」


 まぁ……今だってかなり儲かってるんだから儲かるだろう。

 それよりも、


「お前の勉強の方は大丈夫なのか?」


 リアは頑張り屋だ。多分、俺が生きてきた人生の中で誰よりもだ。


「ええ。あとは……そうね。実技だけ……」


 そうか。リアはまだダンジョンへ入ることが難しい。もちろん、初級者用のダンジョンに俺と一緒に入るくらいはできる。

 ただ、いっぱしの鑑定士として他パーティーへ帯同するのはまだできずにいる。


「無理するな、お前はまだ若いし。鑑定士はたくさんの生き方がある。ダンジョンに行かなくても鑑定所で経験をつめば問題ないさ。でも……」


「でも?」


「リア……。お前はなんのために鑑定士になったんだ?」


 リアは少しだけ目を潤ませた。

 ツインテールがふわりと揺れる。


「ダンジョンの中で……苦しい冒険をする冒険者たちの癒しになりたかったから。リアと一緒に……ダンジョンに入れば美味しい料理で楽しく過ごせるって思って欲しかったから」


 俺の初めての弟子だ。

 心を鬼にすべきか、それとも彼女の好きにさせるべきか。


「フィオーネたちとダンジョンへ行って、ボスのドロップアイテムを取ってくること。俺はいかない。メンバーはフィオーネとシュー、それから回復術師は」


 目を輝かせるヒメ。

 ってかお前らはいつまでこの農場に居座るつもりだよ?


「ギルドで探してくれ」


「なんでじゃ! なんでヒメはいけんのじゃ!」


 お前は仮にも王族だからだよ! と言いたいところをなんとかこらえて


「修行に一流の回復術師がいては意味がないでしょう」


 とミーナのようなうまい言葉を使ってヒメを丸め込む。褒められて嬉しいのかそれともよくわかっていないのかヒメは満足げである。

 ヒメたちには後々俺と一緒にやってもらいたいことがあるのだ。


「では……どんなダンジョンにしましょうか」


「リア、次の昇格試験のダンジョンレベルは」


 リアは覚悟するようにため息をついた。そして、


「中級ダンジョン。大型コボルトの巣です」


「よし、フィオーネどうだ?」


「シューさんの援護があれば」


「シュー、頼むぞ。報酬はゾーイのミルクあいすだ」


 シューはピンッと尻尾を立てて「にゃあ」と鳴いた。ゾーイは巻き込まないでよっと怒っていたがなんだが嬉しそうである。


 大型コボルトといえば、リアが最初のダンジョンで殺されかけた時……意識のない彼女とタケルに群がっていた魔物である。

 うちの番犬と牧羊犬のクロとシロもコボルトであるが全くの別物。猫と獅子ほどの差があるのだ。

 中級ダンジョンのボスは最上級ダンジョンの雑魚レベル。

 今考えてもリアの行動は無謀すぎたわけだ。


「しっかり……全員無事に帰ってくることができたら。店を建ててそこで働くことを許そう。もちろん、リア。お前は鑑定士としての勉強も忘れないでくれ」


 リアはぐっと拳を握りごくりと喉を鳴らした。


「頑張ります!」


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