プロローグ
宮城県にある決して都会とは呼べないが田舎と言うには
充実している中途半端などこにでもある普通の町に住む
元高校生で現在フリーター日高 凌16歳。
アルバイトとゲームとアニメで青春を過ごすいわゆるぼっちだ。
と言っても友達が全くいないわけでもないが殆ど毎日一人で
いるので"ぼっち予備軍"といったところである。そんな彼の日常は
音もなく崩れていった。彼自身すら気づかぬほどに...
2018年03月13日
凌は朝目が覚めてスマホの画面をつけ時間を確認する。午前8時24分だ。
数ヶ月前の彼ならきっと死ぬほど焦っただろう、そう学生だった頃なら。だが今はしがないフリーターだ。
(まだ8時半か..)そんなことを思いながら凌は二度寝の快楽に落ちる。
二度目の目覚めを迎え台所に向かう。そこには本来この時間はまだいるはずの母親がいない。3歳になる弟は保育所、大学生の兄は学校だろう..だが母親は?凌は疑問に思いながらも今日は仕事の時間が早くからなのだろうと納得する。
だがその納得はすぐに恐怖に似た寒気に変わって自分に戻ってくることとなる。
10時44分。「はぁ~腹減った」誰もいない家で声を漏らす。
(コンビニでも行くかぁー)今度は心の中で呟き玄関へ向かう。そして靴を履こうとしゃがみ違和感に気が付く。家族全員分の靴があるのだ。(あれ?、家にいないのに靴はあるって裸足で出かけたのか?なわけないよな?)凌は靴を履き外に出て歩き出しすぐに新たな違和感に気が付く。(やっぱりおかしい車が一台も通ってない...てか電車もだ!まじで何かおかしくない!?)さらに確認の意味を込めて家族に連絡を取ろうとするも......繋がらないというか圏外だ。(いやいやいやいやいやまさかねぇ∼SIMカードがなんかの弾みでズレただけだよね?...ね?)こんな街中で圏外ということはスマホに異常がない限り考えられる可能性は一つだ、そんな筈がない。目を逸らすように現実逃避をしていると目的のコンビニに到着した。
中に入ってみるとやはりだ。(店員がいない。昨日までは普通だったに...夜寝る前、確か11半頃だったか?母さんは居たから丁度日付が変わる12時から俺が寝ていた10時44分位の間に"何か"があったってことだよな?)誰も居ないコンビニで一人立ち尽くし今、何が起こっているのかを必死になって考える。(てか、なんで俺だけここにいるんだ?俺以外の人が消えたのか俺だけ現実に似た違う世界に来てしまった?どちらにしても普通じゃありえない...けど多分これ現実だしなぁ)
ぐぅ"ぅ" (こんな状況でも腹は減るのか)少し口角が上がり弁当コーナーへと向かう。「は?」思わず声が出る。入ってすぐの場所からは死角になっていて見えなかった弁当コーナーをみて凌は衝撃を受けた。弁当が一つもない、それはつまり....(誰かが持って行った?ということは...あれ?もしかして)
「俺以外にも人いたのねw」凌は安堵の表情を浮かべた。