これは“夢”なのかな
やっと、やっと会えた
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あれから何ヶ月、私も今の私に慣れてきた、もう決めた、うそでもいい、この力で自分に大切な何かを守りたい。
「リリナ、」
「兄さん、怪我はない?」
「うん、ないよ」
「兄さん」
「何?ほらほら、また泣いちゃった」
「だって、みんなの仇はやっと終わったんだもの」
「ううん、あと少しだけ」
「少しだけ?」
「炎、妖精一族のところ知ってますか」
「わかりません、妖精一族には特殊な結界を持ってますから」
「うんー、リリナ、ちょっと来て」
「どうしたの」
「手を出して」
おれの力!精霊王の力よ!ランのところを教えてくれ!ーー
「ここは?」
「リサ!リサ!絶対に来るな!」
「ラン?どこだ!場所を教えて!」
「また会えるといいなあ」
「ラン!」
「どうしたの?」
「ランの一族は襲撃された、今は危ない状況だ」
「ラン」
「せめて場所さえわかれば、そうだ、大きな木、あれは妖精の木じゃない!」
「リア、どこに大きな木が生えやすい?」
「え?木なら、東方向の祈り森にあるんじゃない」
「そこだ、今そこへ行く!」
「君たちはここに残って、炎だけ一緒に来て」
「うん」
「駄目だよ兄さん!リリナも行く!」
「危ない、リリナはここに残って、そうすると、おれも安心できるから」
「でも」
「いいから、ねえ」
「時間ないから、行こう炎!」
「はい!」
「族長!」
「我が一族に王に会えなくて、せめて最後の時、命だけは王に捧げたい!」
「おいおい、妖精一族の族長がこんなざまだなんて、笑えるわ、はははー」
「族長を放せ!」
「ラン、私は大丈夫、早くみんなを連れて逃げろ!」
「逃げる?ははー無理だ、ここ森はすでに我が一族にに囲まれたのよ」
「そんっそんな」
「さあ、妖精の源を出せ!」
「出すもんか」
「妖精の一族はここで亡びるのかな」
「感じた!こっちよ、炎早く!」
「空間移動を使って!」
「でも、空間移動使ったら、そっちの空間は乱されて、もう二度と使えないかもしれない」
「構わん、今大事なのはランの一族だ!」
「わかった、転送開始!」
ウイーンーーー
「殺して!」
「やめろ!あああ!」
「ラン…」
「カラー!」
「まだ出さないのか、次は誰かな」
「殺すなら私を殺せ!私の族民に手を出すな!」
「あら、それは駄目だ、行ったでしょう、早く源を出さないと、全員殺してやる」
「次のを殺して!」
「はいよ」
「やめろ!」
「リサ、リリナ、さようなら」
「誰に言ってんの、おれは認めないよ」
「リ サ?」
「顕現せよ、我が精霊剣!」
「何者だ!人間?」
「人間か、これはどう」
「六つの翼、その剣、その紋章、君は精霊王!!」
「我が一族の王。」
「君は白銀!まさか、あなたは殺されたはず!」
「今は帰って来たのよ!我が種族よ、我の元へ来い!」
「あれは白銀の王龍、我らの族長だ!」
「貴様ら、裏切る気なのか、あれはもう白銀じゃない、ただの裏切り者だ!」
「黒龍、何を怖がってる、裏切り者は誰だ?」
「裏切り者の話を聞くな、攻撃しろ!」
「炎、あいつはおれに任せて、ほかのは君が片付けろ!」
「うん、問題ない」
「では、最後の戦いに終止符を下しましょうか」
「さあ、来い!」
「精霊王だとしても、まだ未熟の子供なだけ、くらえ、暗黒に生まれ、死に至る我が力、ブラックアブソーブ!!!」
「さあ、逃げるが良い、わははー」
「逃げるもんか!開天滅地我が精霊剣よ、今こそその輝きを光る時!!もっともっともっと強く光る!!
精霊のーー 一撃!!」
ホン!
「まさか、解消した、我が魔法を、不可能だ!こうなると、君に本当の力を見せてやろう!!」
「神明召喚!我が名は黒龍、血を持って召喚する、さあ顕現せよ、死神ブラックス」
「死神、」
「さあ、倒せ死神」
「おおおーーー!!!死の裁判!!」
クッ、クッこれは 血なのか、やっと終わった、最後はおれの負け、悔しいけど、もう十分じゃないかな、、もうなにもかもが終わったーー
リサーリサー
誰かが呼んでる、でもおれはもう 返事 も でき ない、意識が 消えてしまう
「終わったか、黒木しずみよ、君の使命はまだ終わってないでしょう」
使命?そうかその時の使命っていうのは黒龍のことか
「まだ終わってないでしょう、リサ!人は何かをなすために、己をかけ、終わりを迎える時、死んでゆく、君はここまでか」
ここまで か、そもそも私はこっちの人間じゃないのに、無茶な責任を取らせないでよ、でも、決めたけど、叶えないこの気持ちは少々つらいかも
「ならば、立てよ、その気持ちを最後まで貫き、本物の強者になれ!」
「リサ!しっかりしろ!」
「わははー、これが精霊王だと?馬鹿馬鹿しい、私に抵抗しようとする者はこんなざまだ!」
「ラン!」
「リリナ?逃げろ!」
「にっ兄さん?兄さん!なんで、なんでこんなことになったのよ!いつもの兄さんはどうした、そんなに強い兄さんが負けるわけがないのに!ウーー」
「リサが、やられた」
「うっそだろう」
「リサ!リサ!起きてよ、私を助けたのに、自分のことも助けてよ!」
「シリア、リサは」
「ほら君の仲間も君を待ってるのよ」
私はできるのか
「君の人生だから、自分で決めよう」
なら、私は!おれは戦う!自分のために、人生のために、そして、この私を信じてる人たちのために!!!
「リサ?」
「兄さん?怖かったよ、もう会えないと思ったら、もううううー」
「リサ、良かった、自分を助けたね、本当に、良かったよ」
「みんな、心配をかけて、ごめんね、リリナ、兄さんは言ったろう、絶対に離れないって、待ってて、今から、あいつを倒してくる!」
「クッ、」
「兄さん!」
「リサ、やめろ!ボロボロの体じゃ無理だよ、今は逃げるんだ!」
「兄さん!」
「大丈夫さあ、おれを誰だと思ってる、おれは最強なんだからさあ」
「たとえ死神でも、勝手に人の命を殺すのは許されないんだよ!」
「我は精霊王の名を掛けて、この身、血も肉も骨も全て生贄となって、最強の力を手に入れる!!!」
「兄さん!やめろ!」
「リリナ!近づくな!」
ポンッ
「リサ、どうして!」
「みんな、おれの代わりにリリナを守ってね」
「どうして、こうしないとダメなの、これじゃ、何もかもが終わってしまうじゃない!!!」
「シリア、君は強い女の子だ、おれがなくてもきっとみんなを守れる」
「ヨキ、メイ、会えて嬉しかった」
「リサ、」
「千夜も、いろいろあったけど、みんなと出会えて、とても嬉しかった、初めはおれによって生まれ、最後もおれで終わらせる、これで、おれの使命も終わるか」
「いけーーー、この最強の力で、おれの大切な人に手を出そうとするもの全ても打ち払え!!!」
「神霊魔法、【妖精の消失】!!!おれの前で失せてもらおう!」
「なんだと!黒龍、自分を生贄にする!!!」
「なに?するもんか!」
「もう遅いんだ!」
「これが罰なのか……」
「悪人倒し、おれの人生はこれで終わり、悪くないか……」
「兄さん!消えないで、リリナとずっと一緒って約束したじゃない!うううーーーーー」
ごめんね、約束、守られなくて……
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半年後
「千夜!先生に迷惑かけちゃダメ!」
「だってー」
「あれから半年も過ぎたね」
「リリナ、どうした?」
「ううん、なにもない」
「早くいこう」
兄さん、みんなは無事だったよ、学院も築き直した、世界はより良くなったよ、なんでそんなに馬鹿なのか、リリナの大好きな兄さん…
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「あ、頭が重い、ここは私の家?このゲーム、あれは夢だったか?」
「しずみ、ご飯よ」
「わかったー」
「しかし、どうにも変な感じがする」
「おはよう〜黒木」
「おはようーって、」なんだ突然、世界はどうした、なんでみんなが私のこと嫌わないの、いや、嫌われるの方が普通じゃないか、ってどういうこと?
「おはよう〜」
「おはよう、」
これは夢かな、夢だよね、なんでみんな親切そうな顔してるんだ、私、学校が好きかも
そして、一週間後、クラスのみんなはまるで以前のこと全然知らないようだ、まあ知らないにこしたことはないけど、ずっとこのままだったらいいなあってついつい思っちゃう。
その日の“夢”まだ忘れない。
彼は、彼女は、強くなる




