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彼は自身に与えられた力の確認を始める
何故か大噓つき以外にも二つのスキルが増えていた
取りあえず大噓つきの文字に集中すると説明文が出てきた
大噓つき
噓つきの上位スキル
どんなことでも噓にできる
噓を極めたものにしか発現せず、今まで現れたことはない
今まで現れたことはないっていうことは俺が初めてか
他のスキルも確認する
正直者Lv4
言ったことが本当にできる
解析者Lv10
いろんなことを調べられる
噓つきなのか正直なのかどっちかにしてほしい
解析者は理解できるが正直者は意味が分からないな。噓と使い方が一緒だとしたら……
スキルを使おうとしたときにある感覚がした
スキルを知ったからだろうか、前までは使ってる間隔なんかなかったのに今ははっきりとわかる
正直者を使う
「人里の近くにいる」
チリン
音は同じなんだな
一瞬目の前がぐにゃりと歪んだかと思った次の瞬間には大きな壁で囲まれた街の近くにいた
すごいな一瞬でこんなところに来れるなんて。これがスキルか、使えるな
街へ入るために門らしきところに向かう
こういう世界だと門番とかがいるかと思ったが、門番も通行チェックもなしに普通に入れた
さてこれからどうするか、定番のギルドにでも行くか。あるかどうかも知らないけど、そうだ
解析者のスキルを使いこの街を解析する
すると、この国のことがわかった
ここは王都マナプル
この世界にいる様々な種族がいる
昨日盗賊が秘宝『召喚の書』を使い異世界から三十五人の人間を召喚した
どうやら盗賊によって他のみんなは召喚され、もう四人以外は殺されているようだ
その四人は今冒険者ギルドにいるようだ
どうせなら会ってみるか
ギルドに向けて歩き出す。その際にいろいろな店を見て気づいた
読めないな、普通なら書けなくても読めるもんだろ
そんな事を考えているとギルドに着いた
中には制服姿のクラスメイトがいた
ギルド内は騒がしく彼が入った時には気づかれもしなかったが誰かがこっちを指さして何かを言ってからは何人もがこっちを見ている
「君は佐藤君だよね」
クラスメイトにも気づかれてしまった
「ああ」
「昨日は一緒にいなかったけどどうしていたんだ?」
「お前には関係ないだろ」
「な!?」
噓の仮面が剝れてから彼は少し変わった
元の世界では周りに合わせないといけないので大人しくしていたがこの世界でなら関係はない
「なんだよ、せっかく声かけてやったのに」
「まあまあ落ち着け」
「そうですよ。彼もこっちに来て混乱しているんでしょう」
「ん」
一様こいつらの情報を解析する
五条創
身体強化Lv7 縮地Lv5 カリスマLv5
長身で金髪のイケメン
サッカー部のエースでクラスの中心だった人物。少しナルシストであり自己中心的な考え方をしている
藤城隆二
怪力Lv5 錬成Lv8 錬金Lv8 細工Lv8 裁縫Lv7 火魔法Lv4
茶髪で大柄な男
実家の工場を手伝っているうちに父よりも高精度に製品を作れるようにまでになったほど手先が器用
創の幼馴染でいつも暴走するのを近くで抑えている
召喚せれ盗賊との戦いも時男の中では一番盗賊を殺した
篠宮仁美
身体強化Lv4 弓術Lv8 回復魔法Lv3 料理Lv6
平均的な身長で真っ黒な綺麗な髪で、スタイル抜群
成績優秀で弓道部の副部長
親がほとんど帰ってこないのでほぼ一人暮らしに近い状態だった
召喚されてすぐに落ち着きを取り戻し、盗賊と積極的に戦った
御堂琴音
無口Lv9 火魔法Lv7 水魔法Lv7 風魔法Lv7 電気魔法Lv7 重力魔法Lv7 磁力魔法Lv7
綺麗な白髪を顔が隠れるほどに伸ばしており顔がほとんど見えないがそこらのアイドル並みにかわいい顔をしている、平均より高い身長で豊満な肉体
科学部に入っており、人と話すことは少なくほとんどを科学の実験に使っている
健吾が噓で固めていることを見抜いた唯一の人物
ほう、御堂は俺の本質を少しは理解していたんだな
クラスメイトは無視して受付らしき場所へ向かう
そこにはよくファンタジーに出てくるエルフの美人さんがいた
「ifvug"%visCVETiquoe!%」
何を言ってるかわからんな。しょうがないか
正直者を使い言葉が分かるようにした
「あのー大丈夫ですか?」
「すいません、大丈夫です。登録はここでできますか?」
「はい、こちらで承っております」
「では登録お願いします」
「かしこまりました。卒業証か試験どっちで登録しますか?」
「すいません、何のことか分からないので説明してもらってもいいですか?」
「かしこまりました、冒険者ギルドへの登録には育成学校の卒業証が必要なんです。依頼を失敗されるといろんな人に迷惑がかかってしまうので最低限の力が無いと登録することができません」
「なるほど、試験というのは?」
「試験は現役の冒険者と一緒に二つの依頼を受けてもらいます。それに合格すれば登録できます」
「それなら試験の方が楽なんじゃないですか?」
「そんなことはありませんよ。学校からなら見習いのGランクから始めるんですが試験はDランクからなので難しいんですよ」
随分珍しいやり方をしてるんだな
「試験を受けるには何かいりますか?」
「試験料が必要ですね」
「すいません。今は持ち合わせがなくて、合格してから冒険者として稼いでからでもいいですか?」
「え~と、申し訳ありません。合格しなかったときはどうするかお考えですか?」
「そうですね、落ちる気はありませんが、仮に落ちたら俺を奴隷として売ってくれていいですよ」
「え!?」
「本気ですか?」
「もちろんです。合格すれば問題ありませんから」
「わかりました。では、そのようにしておきます」
「お願いします」
「試験は今日と明日の二日間で行います。開始時間は今から二十分後ですので遅れないようにしてください」
「わかりました。それでは失礼します」
受付から離れるとクラスメイト達が近寄ってきた
「お前も試験を受けるのか?」
「そうだが」
「一人でか?」
「それがなんだ」
イライラしてきたな
「馬鹿だな。この試験はDランクにいきなりなれるんだぞ?一人でどうこうできる内容じゃ無い」
「そーですか。助言ありがとよ」
「ふっ。感謝しろよ」
五条はそう言うと背を向け行ってしまった
「すまんな、ああいう奴なんだ。悪く思わんでやってくれ」
「どうとも思って無いから安心しろ」
「ははは、なんか雰囲気変わったか?」
「そうかも知れませんね。学校にいる間はどこかよそよそしかったんですけど今は何か接しやすいと思いますよ」
「それはどうも、あいつをほっといていいのか?」
こっちで話してる間に五条はギルドを出てしまっていた
「あいつ、これから試験だってのに。ちょっと行ってくる」
「私も行きます」
藤城と篠宮は追って行った
「ねぇ」
「ん?」
小さい声で話しかけてきたのは御堂だった
「良かった。ちぐはぐだったけど今は大丈夫そう。私はそっちのほうが好き
試験頑張ろうね、期待してる」
一方的に喋って二人を追いかけて行ってしまった
「何だったんだ?」