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朝起きると母は既にいなくなっていて朝の準備をしているようだ
「おはよう」
「あら、今日は自分で起きれたのね」
既に朝食が用意されていた
「いただきます」
「どうぞー」
食べながらニュースを見る
もしかしたら何かやっているかと思ったがいつも通りだった
歯磨きや着替えをし、準備を終える
「行ってきます」
「行ってらっしゃい。気を付けていくのよー」
母もいつも通りに戻ったようだ
思い足取りで学校に向かう、どんなことが待ち構えてることやら
学校につくと、癖で自分の教室に向かう
「おはよう」
「おはようございます」
そこには遠山先生がいた
「こんなところにどうかしましたか?」
「いえ、ここ以外に学校でいる場所ないんで」
彼の学校では朝から部活の練習をやってるところも多くグラウンドや体育館、屋上までいろんな所で練習していた
「それなんですがね、あなたのクラスはここじゃなくなりました」
まぁそうなるだろう。こんなにボロボロの教室は使えない
「そもそもおかしかったんですよね
担任もあなた以外の生徒もいないクラスなんか」
え?
何をいってるんだろうか、確かに昨日の召喚が本当だとしたら俺以外はいなくなったけど皆のことは覚えてるんじゃなかったのか?
「あなたもおかしいと思うでしょ?
一人しかいないクラスなんか変なんですよ」
「そうですね。一人しかいないクラスは変だと思います」
その後は変更されたクラスに行き授業を受けた
まるで召喚された人達なんかいなかったかのように
学校が終わると、昨日まで遊んでいた友達の一人の家に行く
もし、みんなの記憶が無くなっているのなら確認しとかないとな
その友達の家は表札に全員の名前が書いてあるので外から見ればわかるようになっている
「やっぱりいなくなったってことかな」
表札には彼の友達の名前はなかった。一様他の友達の家も行ってみたが誰もいなくなっていた
友達がいなくなったと知っても彼は少しも悲しいとは思わなかった
「また友達作りからか、めんどくさいな」
彼の学校は三年間クラス替えはないので同じクラスの人とだけ仲良くしていればいいと思っていた
こんなことなら俺も異世界に連れていかれた方が良かったな
「仕方ないか。こっちの世界で頑張ろう」
チリン
またあの音だ。何度か聞こえた鈴の音
え?
急に目の前が真っ暗になり倒れてしまって
目が覚めたとき最初に目に入ったのは雄大な大自然だった
彼は今まで気を失っていたはずなのに何故か立っており、その立っている場所は崖のような場所だった
「ここは……どこだろう」
考えてみたが分かる訳無かった。学校からの帰りにどうなってるか聞いて回っていただけでなんでこんなところにいるんだ?
ここまで何度もやってれば何となく想像はついていた
恐らくはあの鈴の音が原因だろう
あの鈴の音の後にはいつも不思議なことが起こっている
一度目は召喚されている時に起こった真っ白な所で鈴の音が鳴りひびがはいった
二度目は次の日に召喚されたみんなの記憶が消えた
三度目は急にめまいのような症状が起こり気づいたらここにいた
いずれも彼の発言の後に鈴の音が鳴り逆の現象が起こっている
そういえば最初に変なやつと会った時になんか言われたな。何だっけ
そうか、元の世界だから忘れてたけど俺にも力をくれるって言ってたんだ
異世界に行ったら確認しろって言ってたけどどうやるんだろ
「ステータス」
し~ん
何も起こらんな
「こんなんじゃ力の確認なんかできんか」
チリン
ん?
突然目の前に文字が浮かび上がった
佐藤健吾
大嘘つき
確かこの力って向こうの世界で培っていたものを具現化させるって言ってたな
つまり俺は嘘をつき続けてたってことか?
「なるほど、俺は大嘘つきだったってわけだ」
チリン
この瞬間彼が作っていった嘘の仮面が何枚か剥がれた
彼が小さい頃から幾重にも貼り付けスキルを授けていた者を戦慄させた化け物の仮面が剥がれ始めたのだ
本来なら喜ぶべきだろう。やっと彼が噓という呪縛から解かれようとしているのだ
しかし、この時は誰も思っていなかった。彼の押し込められていた本性が全てを終焉に導く最低最悪の化け物だったことに
誰も知らないところで終わりへのカウントダウンだ始まった