37
今の俺ではあいつらは倒せない
健吾は一人である場所に向かっていた。解析の結果から一人になれる場所を探し、身体能力をあげて全力で移動していた
少なくとも今持ってるスキルを最大限使いこなせるようにはならないとな
今は何となく使えているだけ。スキルは魂に刻まれるものだ、そのスキルは経験を具現化させた力。つまり、人それぞれイメージが違うはずだ。実際に同じスキルを持っていながら使い方が全く違う人達は居た
そう考えて、スキルそのものを解析すると、ほぼ正解だった。レベルはそのスキルで出せる上限を示している、威力上限内なら基本的にイメージで何とでも出来るようだ。
なら!俺はスキルを完璧に使いこなせるようにしてやるさ。大嘘つきも他のスキルも何となく使えるマニュアル操作じゃダメだ!俺のイメージを反映させて俺にしか使えない魔法を造ってやる
かなりの速度でかなりの時間走り続けていると、人の気配がない場所についた。大きな魔物が居るみたいだが、"そいつ"なら問題ないだろ。むしろ修行を手伝ってくれるかもしれん
"そいつ"の居る場所にいくと不自然に出来上がった山があった
「おーい。聞こえるかー!」
どこに耳があるのかも分からないので取り合えず大きな声で呼び掛ける
すると、山が少しずつ動き始めて、体に生えていた木や付いていた砂が落ち、やっと顔が見えた
《その声は...あの時の小さき者か》
あの時?こいつは記憶が残ってるのか?他の奴は死んでたから、ほとんど記憶が残ってないみたいだったからな
《どうしたのだ?小さき者よ、我に何か用か?すまんがここを動くのは無理だからな》
少しの間黙っていたら向こうから話し掛けてきてくれた。こいつはかなりすごい奴のはずなのに何でこんなにフレンドリーなのかね
「俺を覚えてるのか?何があったかも」
《ああ、覚えておる。あの後すぐに街が戻っておったから驚いたぞ。あれもお主がやったのか?》
随分喋るんだな。まぁ口で喋ってるって訳じゃないみたいでテレパシーみたいなのを使ってるんだろうけど
ずっと、口の形は変わっていないので多分スキルか何かなのだろう
「さぁ?直ってたのならそれでいいだろ。
で!俺が聞きたいのはこの辺でスキルの試し撃ちをやっていいのか?ってことだ」
今居る場所ならこのデカイ鮫しかいないし、大抵の攻撃なら効かない位丈夫だし許可してくれるだろ
《試し撃ち?スキルの練習か、この辺なら他の者も居ないし存分に使え
何なら我が教えてやるが》
?...何言ってるんだ?このデカイ生物は。スキルを教えるなんて出来るのか?
疑うような視線で鮫の目をジっと見る
《なんだ?その冷たい目は!久しく味わってなかった突き刺さるような刺激だ》
デカ過ぎる体をクネクネさせながら目輝かせている
...これは...あれだな、ド変態ってやつだな。関わらないようにしよう。
静かに、気づかれないように、移動する。
《なんだ?もう練習に移るのか?なら!我は見学することにしよう。アドバイスでも送れるかもしれんしな》
ま、気づかれないようにするなんか出来るわけないよなー。こんなバカデカイ顔の真ん前にいるんだからどうやったって気づかれるに決まってるよな
このデカイ生物に一言断りを入れたことを後悔しながら、仕方がないのでスキルの練習をすることにする。今は時間が惜しいのだ
「じゃあ、俺は練習するから邪魔するなよ。フリじゃないからな!」
嫌なフラグを立てた気はするが今はスキルの練習が先だ
《ならば我も一緒にやるか。ほれ、すぐに始めるから準備せい》
このデカイのも強いらしいので少しはいい練習になるだろうと思い、仕方なしに練習相手になってもらうことにする
《では先にそなたの力見せてもらうぞ。取り合えず五分間耐えてみよ。どんな手を使っても構わん、五分後にそこに立てていたらそなたの勝ちだ》
いきなりかよ!まぁ、五分位なら問題ないだろ。俺にダメージは入らないからな
一応剣を抜き構える。ガウの大会で剣を振ることが多かった為何となく振ることが出来る
《では...いくぞ!》
口の中から数本の触手が出てきた
キモ!何これキモ!
その触手は先端が刃物になっているのか僅かに光っている。先端以外は肉の塊のようなピンクがかった色でデコボコも多い
端的に言って超キモイ
絶対に触りたくも触られたくもないので全力で剣による防御をする。一つの触手につき四回ほど先端を叩くと砕けるので少しずつ数を減らしていく
《この程度ならばまだ余裕そうだな、難易度を上げるぞ。あと一分だ踏ん張れよ》
残りの触手が三本になったところで十数本の触手が追加された
まだ続くのかよ!
さっきと同じように冷静に対処していくが今度は数が多いからかどうしても弾けずに当たってしまうことが多くなる
《...不思議な防御だな...なるほど、そういうことか。あと十秒
取り合えず今は自分の無力を知れ》
あ?何か小さな声で言っていたうだが聞き取れなかった
それに、今までは手加減でもしていたかのように触手の動きが劇的に変わった
剣で弾こうにも当たる寸前に軌道を僅かに変えて受け流される。結果、無数の触手による袋叩きが始まった
《その程度しか剣が使えんとはな...強力なスキルに頼りきって努力をしなかった証拠だな》
ダメージが無いとはいえ、地面に叩きつけられてボロボロになった俺を見下ろしながら呆れたように言ってくる
「ゲホッゲホッ、ふーー」
深呼吸をして乱れた息を整える
《そなたならばもっとスキルを有用に使えるはずであろう?ここまで基礎も出来てないとは驚きを通り越して尊敬の念すら出てくるな》
うるせーよ、その基礎を練習するためにここに来たんだろうが!
まだ行きが整っていないので心の中で文句をいっておく
《さて、そなたが休んでいる間に鑑定したのだがな...そなた何者だ?普通ではなかろう。我はこの世界の七大神獣なのだぞ
その我ですらそなたの本質を間抜くことが出来ん。いや、そもそも、そなたに干渉することが出来ん。そんなことあると思うか?》
こてんぱんに叩きのめした俺に何をいろいろ言ってんだか
やっと息も整った
「まず言いたいのはだな、なに鑑定してるんだよ!ってかあんたはそんなに偉い魔物だったのか」
普通にビックリした。こいつのことはずっと解析していたがほとんど出来なかったので僅かな情報しか得られていない
《まぁ我が神獣と言われていたのは五百年以上昔のことだから知らないのも無理はないだろうな。は!は!は!》
表情を全く動かさずに笑い声だけがするのでとても間抜けに見えてしまう
「それよりも、俺の力ってのは分かったのか?そのための触手だったんだろ」
話がなかなか進まないので強引に切り出して話を進める
《ああ、もちろんだ。そなたの力はまだまだ甘い!スキルというものを理解しておきながらそれを全く扱えておらんのだからな。次からはもっと厳しくいくぞ!五分休憩しておけ。スキルはイメージだからイメージトレーニングもやっておけよ》
散々言ってから目と口を閉じてしまった
なんなんだ?まぁこいつの言う通りなんだけどな
スキルにイメージをのせるなんてまだ使いはじめて一週間の俺には分からないっつーの
仕方がないのでスキルのイメージをする。剣術や魔法はアニメを沢山見ていたのでイメージはしやすい。しかし、そんなことが自分に出来るのか分からないので今一つ自分がそのスキルを使えているイメージがしずらい
一人でイメージを続けていると
《よし、準備完了だ。始めるか》
急に何かを言ったかと思ったら少しずつ光始めた
まーた何かやるのか?この世界の鮫は随分いろいろ出来るんだな
よく分からない感想を抱きながら光が強くなり続けてる鮫を見続ける
目にすらダメージが無いので目が痛くなることもないのは嬉しい誤算だな
それからすぐに光が一番強くなって、何故か光が不定形になり始めた
そのまたすぐに、次は少しずつ小さくなり始め、人形になって光が消えた
「さて、次の修行を始めようか!」
光が収まった所に立っていたのは、青い髪に赤い瞳、整った顔立ちにスタイル抜群の女性だった




