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「ど、どうしよう!ウルイちゃん達が危ないよ!」
取り合えず御堂を落ち着かせるべく頭に手を置き、数回なでる
「今は落ち着け、ウルイも強いみたいだからあんまり心配いらんだろ」
「........」
ん?聞いてないのか?
「はう~~~~」
うん、聞いてないな
締まりのない顔で、ふにゃーとなっている
「おい、ことちゃん!今からのこと話すから早く正気に戻ってくれ」
なでなでからポンポンに切り替え、早く目を覚ますように言う
「んー?あと五分」
ぺたーー、とくっついて離れなくなった
あー、もう。早くしたいのにな
それからキッチリ五分後に御堂は離れた
「これ以上は許さんぞ!ムースよ」
「うひっ、うふふふふ」
小さなライオンは不気味に笑う一人の男を睨み付ける
メープル殿の攻撃も効かなかった、我の魔法を宝玉で強化すれば倒せるか?
メープルとは妖精の名前である
「ひっはーーー」
奇声をあげながら近づいてくる。加速は使っていないようで対応できる速さしか出ていない
魔法で強化してムースから離れるように動きながら攻撃を繰り返す
「無駄ですぞ!ウルイ殿」
少し離れたところでオッグ老師が何かを言っている
「儂はムースのスキルを知っておるんじゃ、あれには魔法攻撃は効かぬ」
「我が本気を出した一撃も効かぬようなことですか?」
ムースは無差別に攻撃をしていて今は他のものに襲いかかっている。この内に早く止める算段をつけなければいけない
「やめておいた方が賢明ですぞ。今のあやつには魔法は逆効果じゃ
スキル『吸収』で魔力も属性も持っていかれるだけですぞ」
「うふふふ、なら私がいくわよ」
野太いが女口調の声が後ろから聞こえた
「ギミトラか、確か特攻隊長だったな
お主ならやれるかもしれんが危険は伴うぞ?」
話しかけてきてたのはギミトラだった
「問題ないわよ。負傷を怖がってたら特攻隊なんてできないわ、だから私に行かせていただけないかしら?老師さん?」
ギミトラは巨体を傾け、小さな女の子がやれば可愛らしいポーズをとっているが筋骨粒々の大男がやっているので不気味の一言である
「そうじゃの...儂の責任もあるじゃろうし、儂がサポートしよう
遠距離と強化は任せなさい、あとは任せますぞ」
「ええ、分かったわ。それじゃあ早速いくわよ!早くしないとかわいい子まで使えなくなっちゃうもの!」
なぜか戦っている男たちを見ながら気合いを入れている。まぁ気合いが入っているのはいいことだ
「私の最大火力を叩き込んであげるわ」
体をバネのように一度縮め、一気に加速する
「儂らも協力するかのう」
オッグ老師が髭を触りながら呟く
「オッグ老師よ、弟子を止めるのは師匠の勤めですぞ!」
さっきは援護すると言いながら構えようとせずに言うオッグ老師に怒りを覚える
「それもそうですな
このような状況じゃ、賭けだのなんだので変な意地を張るのはくだらない
ウルイ殿、お力をお貸しいただきたい」
頭を下げ協力を頼む
いつもの態度からは想像もできないがこれでも人の師匠か、時と場合をわきまえてしっかりと助力を頼めるところは尊敬できるとウルイは思う
「私も戦うわよ!さっきは油断したけど今度こそ躾をしてあげる!
それに、あの子のスキルが吸収なら限度かあるはずよ。それを上回る威力を一気に叩き込んであげれば済む話だわ」
妖精のメープルが切られた部分の回復をしながら近寄ってきた
「メープル殿はやめておいた方がよい
我とオッグ老師でかたはつくだろうからな」
「それでもよ!やられた分は返さないといけないしね」
どうやら切られたことをそうとう根に持っているようだ
「ウルイ殿!急がねばギミトラが危ないですぞ」
「おうらあああぁぁぁ」
ギミトラは高速で動きながらムースを殴り飛ばす。力と速度が合わさり、強烈な威力がでている
殴り飛ばされたムースは何回か地面を転がったあとに何事もないように立ち上がる
「全く効いてないわね、それでこそムースちゃんよ!でもね、今日は私も本気で行かせてもらうわよん」
立ち上がってから動く気配を見せないムースに近づき殴る
ドガアアアン
殴った衝撃が壁まで届き破壊する
なにかしら?この感覚。まるで人形を叩いているみたいな感覚だわ
壁まで届くほどの衝撃を受けているのに微動だにせず立ち尽くしている
仕方ないわね!このまま拘束してしまいましょう
拘束の道具を使おうと近づく
「うがあああ」
もう少しで道具を付けられる距離になったときにムースは突然絶叫しながら暴れだした
「なに!どうしたのよ!!この子」
距離を取り状態を観察する
さっきまでは笑いながら暴れていたが、今度は怒りに満ちた顔で床や置物、人なんかに襲いかかる
「いいわよ、そこまで暴れたいなら私が相手になってあげるわよ!
覚悟しろやゴラー」
最後の言葉だけドスの効いた男の声で怒鳴り、能力を発動させる
「さっきまでであれば許してあげられたんだけど、ここまで派手に暴れればもう容赦できないなよ!」
巨大な拳がムースを襲う。それを剣で受け止める
キィンッッッ
まるで金属同士がぶつかったような音が響く
「あなたのその剣のことは知ってるわ!スキルを切れるんですってね、すごい剣じゃないの!でもね!私の能力は種族特有の力なの。スキルじゃないからあなたではこれを破れないわよ!」
ギミトラの種族は巨体と鋼鉄並みに固くできる皮膚をもつ種族である
「うがああああ」
「叫ぶんじゃないわよ、うるさいわね!」
キィン、キィンキィキィキィキィキィキィキィン
ギミトラはラッシュを打つがほとんどは剣で受けられる、それでもそうとうの数が叩き込まれているが
それからも休まずにラッシュを続ける
「おらららららら、どうしたの!速度が落ちてるわよ!」
段々と、剣で受けられない数が増えていく
「ギミトラ!下がれ!あとは私たちでけじめをつける」
オッグ老師が声をかける
「あら、あなた達が協力するなんて珍しいわね!」
手を止めることなく、ラッシュを続けながらウルイ達をを見る
ガシッ
一瞬目を離したときにどうやったのかは分からないが、ムースの手が届く距離にまで接近して肩をつかんでいる
加速を使ったのね!でも!
全身を固くし、攻撃に備える
しかし
バァァァァァン
え?何が起こったの?
ギミトラの固くなっていた肩ごと跡形もなく粉砕されていた
「ぶっ壊す!!!!」
ムースは目を真っ赤にしながら鬼のような形相をしている




