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ムースの速さについていくことが出来ないまま第一試合は終わった
あー、もう少しだったのにな。まあ次は何とか出来そうだし良しとするか
第二試合は一時間の休憩の後行うそうなのである秘策を実行することにする
実は昨日他の人を解析しているときに、自分の解析は余りやってなかったことに気づき自分を徹底的に解析した。知りたくなかったこともわかってしまったが収穫もあった。
俺のスキル大嘘つきにはまだ隠された力があった。よく考えれば当然だ。嘘つきの上位に位置するスキルが同じ効果しかないのはおかしい、もっと調べておくべきだった
少し後悔しながらスキル発動に必要な人のところへ向かう
「よっす」
一人と一匹に声をかける
「けんちゃん、お疲れ様。苦戦してるみたいだね」
終始笑顔で言うので苦戦してることを嬉しがっているみたいだ
「嬉しがってないよ。頼りにして来てくれたことが嬉しいだけ」
近くにいなくても心を読む能力は健在ですか。そうですか
「頼り?なにかあったのか?我に出来ることなら協力するが」
御堂の隣にいる一匹が少しだけ驚いた表情を浮かべている
ちっこいライオンも協力してくれるようだ、それなら話が早くて助かるな
「なら、あるスキルのことを教えてほしい。加速についてな」
もうほとんどは解析で分かってはいるが、スキルの性質上今はこうするしかない
「加速か……あのスキルは自信の速さを数十倍にするスキルだ。扱いが難しいが、完璧に使えるようになればそれこそ無敵に近い力を持つことになる」
猫のように顔を撫でながら真剣な話をする
うわー、真剣な話の筈なのに猫っぽい仕草のせいで締まらねー
「でも何でそんなスキルの事を聞くの?」
不思議そうな顔をしている。多分最後の方には対応出来るようになっていたのにスキルを聞きに来た理由がわからないのだろう
「楽に勝つためだ、恐らくだがこのままやってても勝てるだろうが苦戦は免れないだろう。そんなのめんどいからな。傷つきながら戦うのは出来れば避けたいんだ」
熱いバトルものならやりあってお互いがボロボロになりながら戦うものだが、俺にそんなのは似合わない。セコい手を使っても勝てるようにかさくして戦う。
「戦うのはイヤなの?創君とは思いっきり戦ってたけど」
別れるときの決闘だな、あの時は転移者のレベルを確かめるためとあれ以上関わってるとめんどくさいと思ったからだ
「楽に勝つとはどういう事なのだ?オッグ老師の弟子は余り賢くはないが実力そのものはある」
「確かにスキルは強いな」
「そう思っているなら対策を練らなくてはいかんのではないか?」
このちっこいのは頭が悪いのか?対策のためにここに来たってのに
「ウルイちゃん少しだけ黙っててね。けんちゃん何か手伝うことがあるんでしょ?」
俺の考えは良く分かってくれるな。話がスムーズで助かる
「ああ、俺のスキルの発動条件を満たすために来たからな」
「なら早くやっちゃお」
今は御堂だけいればいいか、あんまり多くの人に自分のスキルを教える気なんかない
「すまんなウルイ、少しだけ待っててくれ」
御堂の言いつけを守りずっと静かにしているウルイに一言声を掛け、御堂をつれて控え室に行く
「俺はお前を信じてみることにする」
控え室に入り座る。何故か御堂は目の前に立っているが
解析で回りに不審な物、人がいないことを確認してから話し始める
「私はずっと信じてるよ」
真っ直ぐ見つめながらそんなことを言われたら今まで信じてなかった俺がバカみたいに思えるな
「今から話すのは俺のスキルだ。その力を使えばこの試合も楽になる」
嘘をついていたことがばれるが、まあ別にいいだろ
「こっちに召喚されなかったっていうスキルだね。どんなのなの?」
かなり前に言ったことを覚えていたようだ
俺の事を知れるからか、ちょっと興奮しているようだ
前屈みになり両肩を押さえ顔を覗き込む。体制的に胸が目の前になるので是非ともやめてほしい
「スキルはもとの世界で培ってきた経験が反映されるって覚えてるか?」
「うん」
「俺が貰ったスキルは三つ
大嘘つき、正直者、解析者だ」
「大嘘つき?」
肩から手を離し少しだけ離れる
「ああ、本当の事を嘘に変えられるスキルだ」
「すごいスキルだね」
「そうだな、本当にすごい力さ
このスキルがあればほとんど無敵だろうな」
実際このスキルの力で作ったダメージを受けないっていうのは破られたことはない
「でも、それならけんちゃんは向こうの世界で嘘つきだったんだね」
腕を組み、うんうん、と頷いている
「驚かないんだな。大嘘つきは嘘つきの上位スキル
これだけでも俺がどれだけ嘘をついてきたかわかるだろ」
顔を見ながら言うことが出来ず下を向いて喋る
やっぱり嫌なもんだな。こういくのは自虐的で気に入らない
「本当に沢山嘘をついてきたんだね」
どんな顔をしているんだろうか
向こうにいるときは人間関係なんかどうでも良かった
だが、こっちに来て御堂と過ごしてたら何となくこいつには嫌われたくないと思い始めていた
「でもね……知ってたよ」ギュッ
頭を抱き締めてくる
顔に胸が当たってるんだが!ってかまたかよ!なんか似たようなことを母にもやられたぞ!
「な、なにをだ?」
動揺を隠そうとしたが声が震えてしまう
「嘘をついてたことを……だよ
覚えてるかな?こっちに来てギルドで会ったときの事」
試験の前になんか言われたな
確かその時の解析でこいつは俺が嘘をついてることを見抜いてるって出てたな
「私はね、向こうにいる時からずっとあなたの事を見てたんだよ」
やさしく包み込むように抱き締め、頭を撫でながら喋る
「なかなか声はかけられなかったけどずっと側で見てた。
そしたらね、ある日気づいたんだ
あなたはずっと何かを誤魔化してるって」
「......」
「それからちょっと考えてみたんだ。いつから誤魔化すようになったのかな?って
そしたら分かったんだ……ずっとだって。ずっとずーと、誤魔化して、嘘をついて過ごしてるんだって」
撫でるのをやめ、俺と目線を合わせる
「でも、一つだけ嘘じゃないものもあったよ
あのときの優しさ……あなたは他人にはしっかり向き合ってた
困ってる人がいたら助けてあげて、寂しそうにしてる子には声をかけてた。その気持ちだけは嘘なんかじゃなかったよ
あなたは人を傷つけるような人じゃないもんね
だからあの時は嬉しかった。ちぐはぐだったものが直ってたんだもん」
はは...本当に良い奴だなこいつは
でも、違うんだよな
「ありがとな、ことちゃん。そう言ってくれる奴がいるってのは良いもんだな」
もう遅い
俺のついてた嘘が消える訳じゃないしな
沢山の人を殺したんだ、忘れて良いもんでもない
しゃがんでいた御堂を横に座らせる
「さて、遅くなったが次の試合の準備をするぞ」
本来の目的を果たす
「うん。何をすれば良いのかな?」
スキルの新たな力を待機状態で発動させておく
「俺の質問に答えてくれれば良い。
早速いくぞ
まず一つめ、スキルってのは魂に刻まれるものだ。つまりこれは消えることがないんだよな?」
「そうだね、こっちに来るときに神様?さらそんなこと言われたよ」
よし。これで第一段階クリアだな
どんどん仕込みを済ませよう
これが成功すれば大幅な戦力強化が出来る




