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「すごいな、この数は」
「そうだね、あんまり見ないかも。もしかしたら全校生徒より多いんじゃないかな?」
全校生徒の総数を知らないからなんとも比較の仕様がないな
「おお、きたか!ささ、早くこっちに来い」
ウルイが俺たちを呼ぶのでとりあえずついて行く。何故か舞台のような物の上に上がらされたが
「皆、聞いてほしい。ここにいる二人がガウに入ることになった。仲良くしてやって欲しい」
ウルイが舞台上から叫ぶと
「もちろんですよ、ウルイの旦那」
「よろしくな、人間の坊っちゃん、嬢ちゃん」
「ピーピーピー」
「バフッバフッ」
「よろしくね~」
全員が一斉に声をかけてくる
すごいなウルイって本当にリーダー格だったんだな。ただの使いっぱしりにしか見えないのに
人は見かけによらないか。いや、人じゃないからこの場合どう言えば良いんだろ?
「その場合見かけで判断できないってのが自然じゃないかな?」
うん。確かにそうだね。人って名義してなかったらなんでも良いからな。確かにあっている、あっているが……
「何で口に出してないことを完璧に読んでるんだ?」
「けんちゃんの事なら分かるよ?」
ええ~そんな首をかしげながら不思議そうに言われても困るんですけど。質問してるのはこっちなんですけど
一足先に舞台から降りて、回りの人たちの観察をする
「二人とも」
ウルイが演説を終えたのかこちらに近づいてくる
「二人にこれを渡しておく。緊急用の転移アイテムと連絡石だ」
渡されたのは赤い石と緑色の石の付いた指輪だった
「赤い石は割ったら効果を発揮する。割った場所から一メートルが効果範囲だから気を付けてくれ。指輪は魔力を流せば特定の相手に連絡できる。今は誰とも連絡できないから通信したい人といつでも連絡できるようにしといてくれ」
口調が変わってないか?まぁあんなに皆を引っ張ってるんだからこの口調にしているのかもな。もしくはこっちが素か
「指輪で連絡相手を登録?するためにはどうすればいい?」
「なに、簡単だ。連絡取りたい相手と指輪をくっつけるだけだ。そうすると指輪の側面に小さな白い石が出てくるからそれを押せば連絡できる仕組みだ」
「分かった。俺たちに何かやれることはあるのか?
いきなり連れてこられたからまだ完璧には状況を把握できた無いんだ」
「おお、そうであったな
しかし、特にやってもらうことはないな。近々魔族との大規模戦争が始まるからそれに備えておいてくれ、としか今は言えん」
なんとも不穏な話が出てきたな。俺はただ異世界を満喫したいだけなんだが
「ウルイ殿。その者達の実力はいか程だ?我らがガウに相応しいだけの実力を持っておるのか?」
ウルイと話していると毛髪は無いが眉毛と髭で顔がほとんど見えなくなっている老人が来た
「オッグ老師殿、彼らは凄まじき能力の持ち主達ですぞ。貴方ならそれが分かっておいででしょう?」
直立体制になりオッグ老師と呼ばれていた人とウルイが話す
「確かに力そのものは持ち合わせているようだの、しかし、扱えていなければ無価値も同然。そのようなものをガウに招くなどあってはならんことですぞ」
「それならば力試しとでもいきますか?ご自分で体験した方がこの者達の実力を測れるでしょう」
おい!何勝手に話を進めてるんだ!そもそもの話、ガウに入るなど言っていないのに!
「ウルイちゃんの為だよ。それにここまで来たんだから付き合ってあげようよ
ケータイの代わりになるアイテムも貰っちゃったし」
それには一理あるな。これがあれば連絡は取りやすくなるか……仕方ない、貰いっぱなしは悪いもんな付き合えるところまでなら付き合ってやるか
「ウルイ殿、儂はあまり温厚ではないぞ。このような子供に儂が直接戦うなど馬鹿馬鹿しい。戯言も大概にしておけ」
じいさんの眉毛が何かに持ち上げられたかのように逆立ち、目が見えた
随分と恐ろしい顔をしてるな、目が真っ黒じゃねーか
じいさんの目は映画とかで見るエイリアンのような大きさでありながら白目はほとんどなく真っ黒だった
「では誰かを戦わせましょう。四日後の選定でよろしいか?」
「妥当じゃろうな。では儂はこの辺で失礼しますな、ウルイ殿」
一礼してから転移でもしたのか一瞬で消えた
「お二人とも勝手に決めてしまい申し訳ない」
「気にしないでよ。何か面白そうだし私はいいよ」
「俺も構わない、それに俺が弱いと思われてるのは何となく癪だからな」
「そうか……そう言ってくれると助かる。すまないが説明は後にさせてくれまだやることがあるのでな」
「行ってらっしゃい。私たちは適当に時間を潰してるから良いよ」
「助かる。では」
ウルイが居なくなったのでどうすれば良いかよくわからんが何しようか
「ちょっと良いかしら~そこの人間の坊や」
「ん?」
声がした方を見てみると三メートルはある一つ目の鬼が立っていた
「始めまして坊や、私はガウの特効組の隊長なの。よろしくね」
手を差し出してきたのでそれを握る
何秒か握っていると突然何かを察したのか
「やっぱりただ者じゃないわね坊や。私との握手で平気な顔でたってたのは四人目よ」
どうやら強く握っていたみたいだ。ダメージは入らないから気づかなかった
それよりもそろそろ突っ込んで良いだろうか?
「けんちゃん。あんまり変なこと考えたらダメだよ?」
だから何でわかるんだよ!変なことじゃないから突っ込むことにする。心の中だけなら問題はない
何でマッチョな大柄の鬼が女性用のワンピースを着て、化粧を完璧にして、なおかつ女みたいなしゃべり方してんだよ!正直いってキモいよ!マジで!
「貴方って男性ですよね?何で女性服に化粧までしてるんですか?」
ピシッ
その瞬間回りの空気が凍った
「フフフフフフフフフフ
随分良い度胸してるわね~ちょっとだけでいいから顔かしてくれないかしら~」
しまったな、いじっちゃいけないパターンだったか
「すいませんでした。まさかそこまで思い入れがあるとは思っていなくて
その服お似合いですよ」
わざわざ関係を悪くするつもりはないので謝罪とお世辞を言う
すると
「そうかしらーやっぱりそうよねー私は何を着ても似合っちゃうのよねー」
すごく嬉しそうな表情になり
「分かってくれて嬉しいわーよかったら服もあげるわよーもっとおしゃれなのもあるんだからー」
お世辞ですぐ機嫌が直ったな。よかったよかった
何か不穏なことを言っているが無視しよう。それがいい、あんな女物を俺が着るなど想像しただけで吐き気がする
「けんちゃんの女装……ゴクリ」
「絶ってーしないからな!」
「似合うと、思うよ」
「そうよー可愛い顔してるんだからお洒落しなくちゃー」
いつの間にか二人の意見がまとまってしまっている!流されて女装なんかしたら永遠にトラウマになりそうだな。そしたら女性と距離を置くかもな
「でも!やっぱり格好いいのが似合ってるよね!うん」
心の中で脅迫をかけたら何故か効いた。心の声でも聞いてんのか?
「勿体ないわねー」
「駄目……渡さない」
人見知りモードになったのか言葉数が少なくなったな
「あらあら、彼女さんに言われたら私がどうこう言えないわね
諦めるわ」
「そうしてください」
「遅くなって申し訳ない。おや?ギミトラも一緒だったのですか」
ウルイがやっと戻ってきてくれた
「あら、ウルイさん。この子すごいわね。私の力を余裕で耐えちゃうんですもの。こんなに硬い男の子なんて触ったことなかったわ」
言い回しがちょっとキモいと思ったが言うとめんどくさそうなので心の中までにしとく
「ははは、特攻隊長ギミトラさんのお墨付きとは流石だ」
欲しくなかったんだけどな
「それよりもそろそろ帰ろうぜ。何だかんだで結構時間たってるし」
「む?そうか。ギミトラよ、また四日後の選定で会おう」
「ええ、楽しみにしているわ」
最後の挨拶をしてウルイと来たときと同じ手順で帰る




