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忘れ物

作者: 鍋之助

忘れ物をした。


1時間半ほど電車を乗り継ぎ、最寄り駅へ。

無人駅なのでpasmoをタッチする機械にパスケースで触れる。

自転車で15分ほどの所に学校がある。

ゆったりと自転車を漕ぐ。

学校へつき、部室へと入る。

忘れ物を見つける。

楽譜とノートを手に取り、バッグへ入れる。

時計をふと見る。

11時6分。

次の電車は11時16分。

単線ワンマン列車なので、次の電車は一時間後、12時16分だ。

生憎1時から友人のSさんと待ち合わせの予定がある。

乗り遅れればまあ間に合わないだろう。


急いで自転車に飛び乗る。

自分の出せる最高速度で自転車を漕ぐ、漕ぐ、漕ぐ。

駅前の自転車置き場へ自転車を置き、時計を見た。

11時14分。

まあ大丈夫か、と思った途端踏切の音が鳴る。

電車がもうすぐそこまで来ているのに気が付いていなかった。

急いで階段を駆け上る。

一つ目の踊り場、電車のドアが開いた。

二つ目の踊り場、車掌さんがホームを確認する。学校の先輩らしき女の子が急いで飛び乗る。

通路を走り抜け、階段を駆け下りている最中にドアは閉まってしまった。


「ああ、怒られる。」


口からこぼれた言葉はこれだった。


馬鹿じゃないの?

そんなだから鍋は、もう。


ああ、はい、すみませんSさん。

言うまでもなく待ち合わせしているSさんはここには居ないが、

僕の脳内Sさんはそんなことはお構いなしに説教を続ける。


まずなんでそんなギリギリの電車に乗るの?

人と待ち合わせてるんだよ?馬鹿だなーもう。


はい、申し訳ないです。

朝イチで電車に乗って取りに行くつもりが、起きたのが8時半だったんです。

しかも昨日の夜疲れてお風呂入ってなかったんで、風呂入ってたらまた電車逃して、

乗り換えで45分待つことになったんです。

ええ、はい……はい、僕が悪いです、すみません。


という感じで、今駅のホームでこの文章を書いている。

なんともしょうもない感じだ。

きっとこの状況が僕の性格というか、人となりというか、そんな感じのものを表してる気がする。


はあ。

言い訳考えよ。

部活だって言ってたから疲れてんだろーなー。

…怒られるだろうなあ。


あ、ホームにおばあちゃんが降りてきた。


「どうしたの?電車乗れなかった?」

「はい、もうすぐだったんですけどね、あはは…」

「それはかわいそうだねえ…あと一時間待たないと電車来ないよ〜?」


現実を突きつけないでくれおばあちゃん、今その件で大変悩んでいるんだ…


聞けばこのおばあちゃんは地元の方で、今日は北千住から来るお孫さんを迎えに来たそうだ。

スーパー山なんとかに学生がたむろしているだとか、駅から家まで遠いだとか、僕の家はどこだとか、

とても良く喋るおばあちゃんで、話してて楽しかった。

とてもいきいきしていた。


僕は人と話す、関わる、それら諸々のことが苦手だ。

いわゆる思春期というやつに入って、いきなり苦手になった。

他にもこういう人はいるのか、少し疑問だ。

ここ一、二年でいろいろな経験をして、少しは話せるようになってきたが、

どうすれば話せるようになるのか知りたい。

多分「嫌われる」ということが怖いんだろうと思う。

僕は人よりもかなりネガティブな方で、基本的に「嫌われてる」と思っているところがある。

かろうじて会話ぐらいは皆してくれるのだろう、といつも思う。

「あなたと話してると楽しい」とか「遊びに行きたい」とか言ってくれる人はいる。

基本的に人の言ったことは信用したい。

しかしどこか疑ってしまう自分が居て、嫌になる。

だからやはりそんな僕のことを皆嫌いなんだろう、という悪循環。

だからこれ以上「嫌われる」のが、怖い。

解決するのは簡単だ、ポジティブに考えて生活すればいい。

このおばあちゃんは「嫌われる」とかそういうことは考えてないようにみえる。

他人だから、というものもあるかもしれないけど、何か僕とは違う気がする。

でもネガティブな部分をもっていない人など居ない。

皆心のどこかに暗い部分を持っていて、それをどうするかが問題なんだろう。

僕にはまだそれを活用するための経験が足りていないような気がする。


下り電車が来た。


若い女性がベビーカーを押して、3歳ぐらいの女の子と電車を降りてきた。

娘さんとお孫さんだろう。

女の子が「ばあば!」と言いながらおばあちゃんのもとへ走ってくる。

ベビーカーの中では赤ちゃんがすやすや寝ている。

女の子が言うには、「おとーさんはおしごと!」らしい。


幸せそうな家族だ。

僕には恋人は居ないので、自分の家族とか、未来とか、そういうことはあまり考える期会はない。

居たときはアホみたいなこと考えてたんだけどね((

でも考えたところで未来は未来であって、わかることじゃない。

一日一日、経験を重ねて、色々なことを知って、未来というやつに辿り着けるんだろう、と思う。

学生なりに気になっている人もいるし、やりたいこともある。


やってみよう。行動に移そう。


ふと、一歩踏み出して変わりたいと思えた。

ポジティブに考えて生活してみる、勉強を少し頑張る、部屋の片付けをする。

今すぐできることはいくらでもある。

まずは言い訳を考えて、楽しくやってみよう。

今を楽しまなきゃ始まらない。


電車が来た。

さあ、いざ行かん。

ふはー。いい感じに書けた気がする。気がするだけ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 内容が下っていくところで心情の変化していく様子が良かった。あと、文字が全体的に簡易で、誰でも読みやすいように作られていると思った。 [気になる点] 筆者の主張が弱い。 [一言] 文章が読み…
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