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裕の初恋の相手の名前は、沢田 七海。綺麗…というよりも、可愛い感じだな。裕も知らなかったらしいけど、どうやら電車通学で朝、あれから何度か駅で見かけたらしい。俺と美優はわからなかったけど、裕は気が付いたそうだ。ていうか、気付いたんなら教えろよ。まだあんまりまじまじと見たことねーからみたいのに。何て言ったら、減ると一言かえされた。
いや、減らねーし!
ていうか、あの裕が、顔赤くして、減る。何て言う日がくるとは!というか、裕のタイプは綺麗系より可愛い系なんだな。等と思ってみたり。いや、いままでに裕の周りに可愛いがいなかった訳じゃないから、やっぱりあの子は、裕にとって特別なんだろう。
「浩志っ!」
「みゆ…!?」
どっ!?どうして美優が七海と一緒にいるんだ?!
「えへへ。助けてもらっちゃった!」
「は?どういうことだよ。」
美優に話を聞くと、SAというか、裕に用事があって特進校舎にいって1A辺りで美優が1Aの男子に囲われて1Aの女子に連れ出されそうになったらしい…。そこに偶然通りかかった彼女が特進クラスの女子に囲まれてる普通クラスの美優を助けたらしい。というか、用事ってなんだよ。とは聞かなかった。用事は、多分…いや、絶対にこっそり今、美優の隣にたっている一見すると、ぽけっとしていて頭がいいなんて思えない七海を見に行ったんだろうと言うことが簡単に想像できたからだ。
「ビックリしちゃった!男の子達は、私が裕くんと一緒にご飯食べてること知ってて、私に話しかけたみたいだけど、女の子達は、私が裕くんと一緒にご飯食べてること気に入らなかったみたい。しかも、他の特進クラスの男の子に色目つかってるみたいなこと言ってたのよ。でも、七海ちゃんが、私と浩志がつきあってるの知っててくれて、その子達に私が他の男子に色目つかってないって言ってくれたの。」
「え。俺と美優がつきあってるって知ってるの?なんで?」
すっとんきょうな声が自分でも出たと思う。
「七海ちゃんによると、裕くんが、SAの人達に話してるの聞いたんだって。ほら、私達朝、一緒にきてるし、お昼ご飯も一緒に食べてるでしょ?それをSAの男の子達に聞かれた時、裕くんが私と浩志がつきあってるって。だから、私とはただの幼馴染みだって。ね。」
「あ、は…い。」
「あ、そう…。」
それ以外になんと言えばいいのかわからなかった。ていうか、すでに美優は彼女の事、名前でよんでるし!裕でさえも、沢田さんどまりなのに。しかも、心の中でだ。裕によると話しかけた事も、ないらしい。
どうやら、裕は初恋にとんでもなくヘタレな状態になっているみたいだ。あのルックスでならどんな女の子でもイケルと思うのに…。
「浩志!美優!」
うわっ!!まずっ!!っていうか…俺と美優に隠れるように立っていた彼女を見つけた瞬間の裕の表情が一瞬にしてかわった。
「…!」
「あ、じゃあ私、戻ります。」
ぺこりと御辞儀をして彼女が特進クラスに戻っていく。裕の横を彼女が通りすぎた時…というか裕が彼女に気づいてからずっと裕は固まったままだ。
ていうか…すげー話しかけたそうにしてるくせに、声もだせねーとか!ありえねえだろ!?彼女は彼女で用事は済んだとばかりに、さっさと特進校舎に帰ってったし。
完全に眼中になさそうなんだけど…。マジか?!裕の事どう思ってんのかな?!ただのクラスメイトな線が濃厚すぎる!
裕の視線は、特進校舎に戻っていった彼女の背中をまだおっていた。曲がり角で彼女の背中が見えなくなってもしばらくそこを見つめていた。
「おい、裕。」
左側に行けば普通クラス校舎、真っ直ぐ進めば左横には職員室で、校長室を左手に見ながら先ほど七海が曲がった角を進むと特進校舎がある。右側にいけば階段があり、下に降りれば中庭にいける。そんな状況の廊下の片隅で、特進の生徒と普通生徒が唯一いりまじる所で固まる裕は、目立って仕方ない。
それでなくても、1年の特進クラスに、すごいイケメンがはいってきたと、学校中の話題になっているのに。
「裕っ!」
腕をつかんで無理矢理正気に戻すとやっとのことで、はっ!となり俺達を見た。
「可愛いし、優しいね!七海ちゃん♪」
こっそりと呟かれた美優の言葉と呟かれた裕の反応に俺は頭を抱えずにいられなかった。
やめてくれ美優!裕の初恋が嬉しくてテンションあがるのは仕方ないけど…もれなくめんどくさいことになるからっ!!
と叫びたい衝動を押さえた連休まえの5月1日月曜日ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
頑張れ浩志!