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地獄恋愛 その3
すっかり食べる気をなくした山原に、色々な感情がない交ぜになって食事どころではない僕に、無言でむしゃむしゃと食べ続ける杏。
店の暖房と、食事の摂取で杏の足先はひとまず熱を取り戻して、僕の足は解放された。
杏はもしかして、いや、もしかしなくても、日曜の遅い起床後、山原の不在に気付き家を飛び出してきたのだろう。
居場所の特定は、山原の夜間徘徊の事情からスマホを活用していることが予想された。
杏は今、どんな心境なのか……。
起き抜けの格好で、素足にサンダルで、この冬の季節を駆け抜ける切実さを僕は杏の言葉で知りたい。
公式なんて無用な杏の言動に僕は解以上の答えを見出だせる気がしていた。
「舞ちゃん、食べたら帰ろう?」
杏は優しく山原に話しかける。
「……勝手に決めないで」
山原はさっきまで杏に圧倒されていたが、いつもの調子が戻ったようで反抗的に呟く。
「じゃあ、これからどうするの?」
杏が驚いたように訊いた。
「さあ?せんせー、決めてよ」
投げやりな態度で山原は僕に決定させようとした。




