22/53
許して受け入れて その1
「せんせー、仙人通り越して神様みたいになってんじゃん、ギャハハ!」
山原が僕を見て開口一番に爆笑する。
他の生徒達も嬉しそうに笑いだす。
「………」
「なによ……ついに私を怒るっての?」
僕が昨夜のことを山原を透かし思い出していると、彼女は覚悟を決めた表情をする。
「怒ることなんてないさ。今日はどっからだっけ?」
仙人から神様に出世、ありがたいことだ。
「……せんせー、生きてる?」
テキストを開きながら山原が疑うように言う。
「もちろん、生きてるよ」
僕が鼻で笑うと教室全体がどよめいた。
「怖い怖い!」
「ひぃー!」
「サイコ!」
生徒達が口々に僕のニヒルな笑いを怖がる。
「……はいはい、勉強するぞー」
どういうことだ、と思いながらもいつもの毎日を始める。
ホワイトボードに教科の要点を書きながらやっぱりあの女性が滲む。
もういいや。
もう諦める。
忘れるのをやめる。
僕の中で滲んで、浮かんで、巡ったらいい。
現実ではどうにもならないから。
数字の羅列も電話に打ち込まないとなんの役にも立たないし。
「じゃあ、各自、分からないとこがあったらすぐ質問しろよ」
振り返って言うと生徒達全員がさらに震え上がった。
「せんせー!生気ないよ、ゾンビじゃん!」
山原が真顔で叫んだ。
神からゾンビへ、降格人事にもほどがあるぜ。




