表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/53

運命回避の輪廻 その4

肌寒い夜なのに山原は冷たいジュースをホームで一気飲みした。

本当に喉が乾いていたのだろう。


自分だったら即、腹を壊しそうだ。


「せんせー、ごちそーさま!」


「どういたしまして」


山原がペットボトルをごみ箱に捨てると、ちょうどアナウンス付きの音楽と共に電車が滑り込んできた。


電車の中はそれなりに混んでいて、山原を入ってすぐの席に座らせ僕はその横でポールにつかまって立っていた。


発車の音楽が鳴り、電車がゆっくりと動き出す。


スピードに乗ると山原は僕を見上げた。


「せんせー、大丈夫?」


「大丈夫だ」


立っていることを気遣っているのだと思い、微笑んで頷く。


「……最近、よくぼんやりしてるからさ。なんかあった?」


「………」


僕の足の心配ではなかった。

不意討ちをくらったように呼吸が止まる。


「ほら、やっぱりなんかあったんだ」


山原が解を分かった時の顔をした。


「何もないさ」


振り払うように笑い、平然を装う。


「嘘。窓の外ながめて泣きそうな顔しちゃってさ、いい大人なのに」


「……」


「せんせー、すました顔してるけど思いっきり顔に出るタイプだから」


「ええ?」


「ま、私だけしか気付いてないから安心しなよ」


「……」


あの終電に乗り合わせたサラリーマンも気付いていたようだが、あれは油断していたのだ。


「何かあっても自分で解決するよ。ありがとな」


あんまり掘り返してほしくないので山原に礼を言い、暗い窓の外を向いた。


窓に反射して映る僕と目が合う。

強ばった真顔が恐ろしいくらい大人だ。


「……せんせー」


「ん?」


唇の両端を引き上げて山原を向く。


「……我慢したらだめだよ。大人も無理したらだめなんだからね」


「………」


「せんせー、分かった?」


「分かったよ」


僕の返事に不満そうな顔の山原だが、正面を向きため息をつくと目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ