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運命の朝食 その9

「信じてくれますか?」


僕を睨みつけるような苦し気な表情で、女性はそれでも両手をスカートの裾から離さなかった。


なんだよ。

信じなかったら本当に下着を見せるのか?

勝手にしろよ。

そんで被害者面して泣き出して僕は警察に通報されるって?

いいさ。

僕は無実だ。

絶対に負けない!



「……信じるよ」


言った途端、僕の脳内で貯金の残高が大幅に減るイメージが鮮明に映し出された。


「よかった!」


僕の覚悟が伝わったようで、女性はサッと足を下ろし小さな肩掛けカバンからペンを取り出した。


泣いたカラスがもう、というように唇を舐めながら嬉々としてペーパーナプキンに何やら書いている。


「連絡くださいね」


女性はペーパーナプキンを僕のトレイに置いて小さく手を振った。


バイバイ、ということだろう。


あっさりとした解放に僕は拍子抜けして、さっきの覚悟が名残惜しそうに口をパクパクさせている。


僕はすごすごと、意外だったが本当にそんな心持ちでイートインコーナーを立ち去った。


数字の羅列が滲んだペーパーナプキンを他のゴミと一緒に捨てるのは今じゃなくても……こっそりとズボンのポケットに忍ばせた。


コンビニの外に出ると外気の爽やかさと街の喧騒にほっとし、腰が抜けそうになってよろけたことは墓場まで持っていこうと思う。


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