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プロローグ
恋の運命がさんざん僕を避けてきたのは、きっと、君との出会いをより引き立てる為だったとしたら。
えらくもったいぶっていると思うし、すごく残酷なことだとも思うし、楽しいことを最後にとっておいてくれたと説明されてもよけいせつなくなる。
それじゃあ、君と出会わなければよかったのかと考えてみても、それは絶対に嫌だと叫ぶだろう。
君と出会わなければ、君と恋に落ちなければ、僕の人生は何とも寂しい色褪せた道程だっただろう。
少し想像しただけで恐怖に震える。
君以外とも恋はしたけれど、君は誰とも違う。
誰とも比べられない特別な人だ。
たくさんの人と関わって擦り切れた僕の心を、君は一瞬で蘇らせた。
ただ、僕を見つめて微笑んだだけで。
そんな僕が君の奴隷に、君の先生に、君の守護者に、君の全てになりたいと思うのは必然だ。
君だけが僕を好きにしてもいい。
君だけが僕を生かす。
はたから見れば滑稽きわまりない男だろう。
それでもいい。
それでもいいんだ。
君が僕に恋をしてくれているのだから。
地獄に堕ちたっていい。




