勝負に勝ちました
現在、俺と陛下は限られた時間内で数学の問題を解いている。
つまり――――テストだ。
異世界に来てまでテストを受ける羽目になるとは、思っていなかった。
問題の内容は平方根や絶対値の問題や体積の求め方と云った感じだ。
いくつか解き方を忘れていた問題や習っていなかった問題もあったが8割はできたはずだ。
(残り時間5分か。思っていたより難しかったな。これだけ出来れば負けないと思うけど)
「はい!終了です。書くのを止めてください」
秘書がテストの終わりを伝えた。
テスト用紙が秘書に集められた。
そこで二つをまとめて採点するらしい。
―――――結果を言うと、少し危なかったが勝てた。
異世界の国王を舐めてたわ。
(もっと余裕だと思っていたのに)
「最初の『知』の勝負はユーマ様の勝ちです」
秘書の人が勝敗を伝えてくれた。
「次は『技』の勝負ですね。訓練場に既に準備しております」
それから訓練場に向かった。
「簡単にルールを説明しときますね。最初は的から10m離れた場所から5回ずつ投げます。刺さった数が多い方の勝ちです。互いに刺さった数が同じなら、さらに1mずつ下がり最初と同じです。最高で20m離れます。問題ありませんか?」
(この勝負で俺が負ける要素は皆無だ)
そんな事を考えていると、質問が来た。
「問題は無いが、何故20m以上は下がらないのだ?」
それは、俺のサイコキネシスの許容範囲が20mまで伸びていたからだ。とは、言えないよな。
「それは、私のレベルが低いので力が弱く、遠くまで投げられないからです」
(ホントの事は言わないように言い訳も完璧だ。ここで文句言ってきても対処方法は考えている)
「なるほど、そうだな。レベルの差については考えていなかった」
(納得してくれた、みたいだな)
「ですが、陛下!それだと、この小僧の為にルールが決められているんですぞ」
側近が余計な事を...
「レベルの差を考慮しなくては、条件や勝負方法を指定した意味が無いじゃないですか。それに、このルールでは陛下が不利のなるような事もないですよ。私でも投げれる距離なら、私よりもレベルの高い陛下なら余裕でしょうに。それと、誰が喋って良いと言ったんですか?最初に条件を言った時に陛下以外は口出し禁止ですよ。これは、そちらの反則負けって事で良いんですか?」
(このまま、相手側を反則負けにしようかな~。でも、そうしたら、後から文句言われそうだしな。このままでも勝てるから良いかな)
「くっ!」
側近の一人が黙り込んだ。
「あぁ、問題はないさ。こちらが不利になる事もないんだしな。どちらが先に投擲するのだ?」
(そういえば、順番を決めていなかったな)
「ルールを決めさせてもらったので、私から投げましょう」
陛下も反対をしないから指定の場所に着いてからナイフを投擲した。
サイコキネシスを使い、5本ともキチンと的に刺さった。
「ほう、さすがに的当てを勝負に選ぶだけあって、上手いな」
陛下から賞賛の声がかかった。
「次は余の番だな」
陛下がナイフを投擲した。
陛下も5本とも見事に刺さった。
(これは、少々予想外だった。多少は上手いとは思っていたが、上手すぎだろ。レベルの補正か!?)
俺は1m下がってから、ナイフを投擲した。
もちろん、5本とも的に刺さる。
俺に続けて陛下も投擲した。
陛下も成功させた。
それの繰り返しで、互いにミスらないまま20mまで下がったのだ。
少し、陛下の精度が下がったが未だにミスは無い。
俺のサイコキネシスも20mまでだから、たまに的に当たる寸前で操作が切れる事がある。もちろん、寸前で切れても、真っ直ぐにいくから問題は無いのだが。
(おいおい!もう一時間は経過するだろう!?どんな体力と精神力してんだ!?)
お互いに何回投げたかもわからない程投げ続けている。
正確に言うと、俺は投げてないのか。
投げる真似はしているけど。
◇◆◇◆
さらに二時間程、経過した。
互いに話す余裕は無いみたいだ。
(無限ループかよ。肩痛いわ~。投げる真似だけど、肩にダメージが蓄積されてきているな。さすがに相手も限界っぽいけど。20mとか普通は真っ直ぐ投げれないだろ)
陛下もさっきからギリギリミスらない程度になっている。
俺の方も魔力が半分ぐらい減ったな。
さらに30分が経過した頃
遂に陛下がミスったのだ。
「クッ!体力の限界か...無念だ」
陛下が地面に膝を着けながら、呟いた。
(やっとかよ。てか、投擲系のスキル持ってないのに凄すぎだろうが)
「ふぅ~、何とか勝てたかな」
「やったわね」
「ユーマさん、凄いです」
俺達が少し話していると、陛下が近づいてきた
俺はイチャモンとかつけられた時の事を考えていたら、
「余の完敗だ。最初の勝負意外は勝てると思ったんだがな。約束は守ろう」
(文句を言ってくると思っていたが、意外だな)
「それと、ティアラよ。お前の人生だ、お前の好きなようにするがよい」
「お父様、ありがとうございます」
そう言って、立ち去ろうとする陛下をジャスティンが呼び止めた。
「もぉ~、貴方も素直じゃないんだから。元々、ティアラの好きなようにさせようと考えていた癖に」
(え!?マジで)
「こ、こら!それは、言わない約束だろ」
「えっと、お母様。それは、どうゆう事でしょうか?」
ティアラが質問した。
「二日前にティアラと言い争いになった夜に相談されたの。それで、二人で話し合った結果がそーゆう事なの」
「じゃぁ、今回の勝負は意味が無かったって事ですか?」
俺は話に割り込んでから聞いてみた。
「まぁ、ぶっちゃけ無いな!ガハハハ...いや、あるといえば、あるかな。余の大切なジャスティンとティアラに気に入られてる奴がどんな奴か見極める為かな」
陛下が答えてくれた。
(てか、そんな理由かよ。面倒な思いまでしたのに)
「ユーマよ、お主は合格じゃ!これからも2人の良き友人でいてくれよ」
「あ、ありがとうございます」
一応、お礼を言っておいた。




